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デフレの恐怖ではなく成長の恐怖だ:ダブルライン
2019年12月23日

ジェフリー・ガンドラック氏のダブルライン・キャピタルでCIOを務める《2人目のジェフリー》ジェフ・シャーマン氏が、インフレ・金利の上昇の可能性を排除すべきでないと警告している。


フィクスト・インカム市場で起こっていることで言えば・・・デフレの恐怖というが、私がもっと重要だと思うのは経済成長の恐怖だと思う。
これは製造業セクターに集中しており、経済統計からはいくらかリバウンドが始まったかもしれない兆候が見えている。

シャーマン氏がCNBCで「成長ストーリー」はまだ生きていると話した。
同氏はガンドラック氏の右腕。
CIOという要職を務める傍ら、SNSを通じて投資家らとのコミュニケーションをとっている。
日頃は金融・投資業界とは思えないようなチャラさが際立っているが、この日はなかなか堂々とした振る舞いだった。

ガンドラック氏がTCWから独立しダブルラインを創業してから10年。
同氏も同社も瞬く間に業界での地位を確固たるものにした。
ガンドラック氏は債券王と呼ばれるようになり、ダブルラインは預かり資産1,470億ドル(約16兆円、9月末時点)の運用会社となった。
8月、同社はアンドリュー・スー氏を迎え、ガンドラック氏が運用する旗艦ファンドの共同運用者に充てている。
また、ダブルラインの共同創業者であるPhilip Barach社長が来年会社を去るとの報道もある。
同氏はTCW時代にモーゲージ部門の立ち上げに携わったほどの実力者だ。
創業10年で、ダブルラインは何か変化を始めているのかもしれない。

シャーマン氏は今四半期、米経済が回復基調を取り戻したと見ている。
そして、ストーリーは経済成長だけではないという。

現在、経済成長だけでなくインフレでも上昇が見られる。
みんなFRBのインフレ指標、コアPCEに注目しているが、他のコア・インフレを幅広く見ると、2%を超えているものもある。
だから、投資家は、今年見てきた資産価格インフレについて考えるだけでなく、伝統的なインフレが2020年に少し戻り始めることも考えておくべきだ。

シャーマン氏は、FRBの政策変更などに振れながら、大きく反転を繰り返した過去2年を振り返った。
FRBが金融引き締めを進めた昨年、市場は大荒れになり、ほとんどのセクターがロスを出した。
FRBが真逆の政策に転じた今年は、市場は急回復し、ほとんどのセクターが良好なリターンを出した。
それでも、シャーマン氏は用心をやめない。

「だから、いくらか追い風になっているが、追い風だから自己満足になるわけではない。
2019年に『買い』と叫ぶだけの材料を見出すのは難しい。」

こうした認識の下、ダブルラインでは銘柄の入れ替えを行ってきたという。
好調だった勝ち組の持ち高を減らし、良好なプラス・リターンだったのに出遅れたセクターを物色したのだという。

シャーマン氏は、インフレのコア指数に上昇の兆し、コモディティ価格にもリバウンドの兆しがあると指摘する。
OPEC減産もある程度原油価格を下支えするだろうという。
過去、コモディティは総合指数の足を引っ張るよう作用してきたが、今後は押し上げ要因になると、シャーマン氏は予想する。
そして、貿易摩擦の動向がそのきっかけになりうるという。

「私が注目しているのは、第1段階の貿易合意が実現し、貿易摩擦が収まるなら、貿易分野での平和が訪れる。
そうなれば、最近銅で見られたように工業用金属が少し上がるだろう。
・・・
私たちのインフレ・モデルを用い、コモディティ価格が反転するとすると、来年のインフレ率は2020年を通して2%超と予想される。
コモディティ・セクターは下落し投資家から嫌われているが、貿易に関するレトリックだけでリバウンドを始める可能性がある。」

インフレの上昇は金利の上昇圧力になる。
ダブルラインは、銅/金比率を注視しているが、この指標も米国債利回り上昇を暗示しているという。
シャーマン氏は、金利上昇をもたらしうるもう1つの要因を挙げている。

リクスバンクが(マイナス金利から)ゼロ金利に戻したのは、金利市場と中央銀行にとって記念すべき瞬間だ。
オーバーナイト貸出金利のマイナス利回りにもはやメリットはないと言っているようなものだ。
それは、イールド・カーブ全体を押し上げるだろう。
ラガルドECB総裁にも同様のことを行う勇気を期待したい。

マイナス金利政策の先駆者だったスウェーデンの中央銀行リクスバンクが同政策を解除した。
同行は2009年に超過準備の付利金利を-0.25%とした。
このマイナスの付利金利を今月19日ゼロ%に引き上げたのだ。
景気と物価の状況は満足いくものでないものの、長期間にわたるマイナス金利の副作用が無視しきれなくなったとされる。
スウェーデンでは、家計の債務拡大に対する懸念が高まっていた。

米国ではこのマイナス金利政策に対する評判がすこぶる悪い。
ほぼ全員が厳しくダメ出しするありさまだ。
もちろん、シャーマン氏もその一人だ。

「(マイナス金利は)世界の銀行・保険セクターにとって本当に大きな妨げだと信じている。
・・・少なくともゼロ利回りまでは戻すべきだ。
できればイールド・カーブの短期側がプラスに戻ることを祈っている。」

欧州でマイナス金利の妥当性についての議論が高まるかもしれない。
ここに、シャーマン氏は米金利上昇のもう1つの要因を見出している。
以前からガンドラック氏は、米長期金利が米名目成長率と独長期金利の中間点近くにあると指摘してきた。
もしそうならば、独長期金利の上昇分の半分だけ米長期金利に上昇圧力が加わる可能性がある。
シャーマン氏は警告する。

もしも欧州の金利にプレッシャーがかかれば、私はそれが筋書きだと思うが、米国の金利市場も一緒に動くと考えるべきだ。
米金利は比較的高いが、だからといって逃げ込むべき安全な場所と考えるべきではない。
・・・2019年には一緒に下がった。
これが、2020年に利回り上昇が起こる前触れの1つになる。


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