ウォートンの魔術師ジェレミー・シーゲル教授が、米CPIと金融政策について触れ、今後の市場について予想している。
前年同月比8.5%はピークかもしれないが、前年同月比6-7%が長い間続くだろう。・・・
シーゲル教授がCNBCで、米インフレの高止まりを予想した。
3月のCPIが前年同月比でピークとなる可能性があるとしたものの、原油、冬場の天然ガス、家賃など悪材料も多く、物価目標に向けて低下するとは考えにくいという。
12日米労働省発表のCPI上昇率は
- 総合: 前年同月比8.5%、前月比1.2%
- コア: 同6.5%、0.3%
総合こそほぼ市場予想どおりだったが、コア指数が前月比の市場予想0.5%に対して0.3%と下回り、一応の安心感を生んだ。
シーゲル教授は、3月のCPIが金融政策に与える影響を解説する。
「CPIコアは予想より低く、FRBはそれを見ているから、FRBは75 bpの利上げはしないだろう。・・・
だから(5月3-4日のFOMCは)50 bpになる。
今後何か月も6-7%のインフレが続き、FRBは多くのFOMCで50 bp以上の利上げを続けざるをえなくなるだろう。」
シーゲル教授は、FRBが大きく出遅れているとの見方を全く変えていない。
インフレを抑制するためにはFF金利を少なくとも3.0-3.5%まで引き上げる必要があると話している。
この見通しにしたがい、今後の米国株市場への見方も不変だ。
教授は以前、しばらく市場は苦戦を続け、その後上昇に回帰するとの予想をしている。
FRBの利上げとバランスシート縮小が市場を苦戦させ、それを消化した後に上昇に転じるとのシナリオだ。
今回もそれを最も単純化した理論式(株価=利益/割引率)を用いて解説している。
分子は素晴らしいが、分母も上昇し続ける。
特に、市場による分母の織り込みについて、シーゲル教授はまだ不十分と考えているから、十分になるまで市場は苦戦することになる。
教授は、これまで起こってきたのと同様に「波のある相場、ローテーション」が継続すると見ている。
ローテーションは、短期的にキャッシュフローが得られる銘柄に向かって継続するだろう。
多くのテクノロジー株がかなり合理的な水準、PER 19-20倍となっているものの、私はまだテクノロジーが良い投資先になったとは言い切れない。
19-20倍なら良いが、それを超えるなら、現在の市場環境では不利になるだろう。
シーゲル教授は先日、予想PER 22-23倍の大手テクノロジー株は、成長性から見て割高ではないと指摘していた。