アリアンツ経済顧問のモハメド・エラリアン氏が、市場・経済が適温であり続ける条件を解説し、テーパリングをいつ開始すべきかについて語っている。
市場にとってゴルディロックスとは、トップダウンとボトムアップの支持の組み合わせから来ている。
トップダウンとはこれまで続いてきた十分で予見可能な流動性(供給)だ。
ボトムアップとは強い企業収益だ。
エラリアン氏がCNBCで、いつものように経済・市場をわかりやすく解説している。
今回のテーマはゴルディロックス。
市場と経済の2つに分けて、各々が適温になる条件を解説している。
市場を適温にとどめるのは流動性と企業収益というわけだ。
では、経済の方はどうか。
「金曜日の(雇用)統計の賃金の数字は米経済にとってとても良いものだったが、インプットのコストにとってはそれほど良くなかった。」
エラリアン氏によれば、経済に適温をもたらすのはインフレが穏やかな範囲に収まることだという。
そのインフレの1つの要素が雇用だが、現在の雇用には2つの顔がある。
賃金が上がれば、家計が豊かになる観点だけでなく、消費など需要側の観点からも喜ぶべきことだ。
一方、供給側からすれば、賃金上昇はコスト上昇要因になる。
そして、ディスインフレ的な環境の中、長らくFRBはインフレ上昇を望んできたが、行き過ぎればブレーキを踏まざるをえなくなる。
FRBは依然としてインフレを《一過性》と言い続け、《一過性》の定義を長期化することで強弁を続けている。
エラリアン氏は、インフレの先行きについて予想を求められると、高インフレの継続を予想した。
FRB予想より、ほとんどの人の予想より高くなるだろう。・・・
みんなインフレの脅威を過小評価しており、インフレはもっと持続することになるように思える。
インフレの要因となっているもののほとんどが自然に減衰していくものであり、じきに消えていくとしながら、その時間軸がFRBや市場の予想より長くなるとの考え方だ。
こう聞くかぎり、エラリアン氏の意見は穏健なタカ派の範疇にあるように思える。
しかし、実際の政策となると、エラリアン氏の考えは市場の求めるものとはかけ離れているようだ。
同氏はこれまで度々FRBが後手に回っていると警告し続けてきた。
少し(FRBに)動きがみられるから・・・テーパリング期待が1-2月からおそらく12月、もしかしたら11月と前倒しになってきた。
でも、FRBは後手に回っている。
もうとっくにテーパリングを始めておかなければいけなかったんだ。
このタカ派ぶりは、エラリアン氏の債券投資家としての側面が言わせるのだろうか。
(とはいえ、同氏が債券投資家として見られたのは、実はPIMCOの在職中だけだ。)
もしもエラリアン氏が言うことが正しいなら、私たちは、中央銀行が大きく出遅れた場合に起こるシナリオを意識しなければならなくなる。