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テスラ株価を正当化するための3条件:アスワス・ダモダラン
2020年2月15日

アスワス・ダモダラン ニューヨーク大学教授が、キャスターとの意思疎通が難しくなるほど、テスラ株価について辛口なコメントをしている。


テスラがうまくやれるかと言えば、いかにもそうなりそうだ。

ダモダラン教授がCNBCで、強烈な皮肉を語った。
教授はいつも穏やかににこやかに皮肉を語る。
それゆえに、キャスターが受け取り方に迷うことも少なくない。
この日も、キャスターは、教授の言葉をそのまま真に受けるべきか迷ったようだ。

ダモダラン教授が皮肉を用いた理由は、決してテスラを批判するためではない。
むしろ、テスラについては大きな可能性を秘めていると評価している。

「私はテスラをティーンエイジャー企業と呼んでいる。
毎日起きると、たくさんの可能性がある。
『さあ、今日は何をヘマしようか?』
これは明日・来週変わるものではない。」

成長を続ける企業であるがゆえに向こう傷も多くなると言いたいのだ。
実際、ダモダラン教授は以前からテスラ株を買ったと明かしていた。
教授は、この日も投資に対する基本的な信条を表明している。

「私はどの銘柄も適正価格なら買う。
だから、ある株を絶対に買わないという考えは奇妙に聞こえる。」

良いものだろうが悪いものだろうが、フェア・バリューより安ければ投資を検討すると言いたいのだ。
誰よりもバリュエーションに長けているとの自負のあるダモダラン教授だから、それが成功につながると確信できるのだろう。

ダモダラン教授は、テスラではなく、何を皮肉ったのだろうか。
その対象は、急騰してきたテスラ株価である。

「テスラ株価は上がりすぎた。
だから私は売ったんだ。
急ぎすぎたが、640ドルで売却した。」

テスラ株は2019年に一時200ドルを割り込んだ後に上昇を始めた。
四半期ベースの黒字化という材料もあり、ショート・セラーを振り落とす展開となった。
今年一時900ドルに迫る展開となり、現在も800ドル近辺にある。

ダモダラン教授がバリュー・ベースの投資をするなら、教授が考えるフェア・バリューは640ドル以下であると暗示される。
教授は、上がりすぎた現在の株価を正当化するためには極めて大きなエクイティ・ストーリーが必要になると指摘し、わかりやすく3つに分解して物語の大きさを示している。

  • 売上拡大: 約10年のうちにフォルクスワーゲン並みの売上高3,000憶ドル。
  • 利益率: アップル並みの利益率。
  • 投資: 過去どの製造業企業も行ったことのない規模の投資。

冒頭の「うまくやれるか」というのは、この3つのハードルをうまく超えられるかということだ。
(いりくりがあっても)これらすべてを満足しなければ、現在の株価が正当化できない。
ダモダラン教授は「心配だ」というが、普通の感覚ならば心配せずに不可能と考えるのではないか。

利益率1つとってもハードルは極めて高い。
アップル並みの利益率を実現するには自動車メーカーでは無理だ。
ダモダラン教授は「半分ソフトウェア」の会社になる必要があると言うが、自動車もソフトもすでに多くのライバルが存在するから、道は容易ではない。

13日にテスラは約20-23億ドルの公募増資の計画を公表している。
今年予定している最大35億ドルの設備投資の一部に充てるという。
ある意味、こうした資金調達は壮大な物語実現へのステップと考えられる。

ダモダラン教授は、真意がわかりにくい言い方でコメントしている。

「テスラがついにこの大きな物語にしたがって行動し始め、資金調達を計画しているのを聞いて喜んでいる。
実際、彼らはもっと多く資金調達しなければならない。
物語を実現するためには必要なんだから。」

株価が過熱気味の中での増資には危うさもあるが、市場は悪材料とは取らなかったようだ。

ダモダラン教授は、市場がファンダメンタルズを重視しておらず、ムードで上げていると指摘する。
テスラ株は「短期売買の銘柄であって、投資対象ではない」とコメントしている。
結局のところ、ダモダラン教授の真意はどこにあるのか。

現在の株価で投資するのに十分なほどこの物語を強く信じている人たちがいる。
私はそれが遠すぎる橋に感じる。


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