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テスラは希望を映す鏡:ジム・チャノス
2020年6月24日

キニコス・アソシエイツのジム・チャノス氏が、株高にもめげず、相変わらず電気自動車メーカー テスラの株をショートし続けている。


まだテスラをショートしてるよ。

Bloombergキャスターから「どこかでタオルを投げないの?」と尋ねられて、チャノス氏が答えた。
多くの人々が疑問視しながらも、テスラ株価は総じて上昇を続けてきた。
チャノス氏らショート・セラーにとっては景気サイクルが異様に長くなったのが不運だった。
この上昇でショート・セラーは相当な痛手を受けたはずだ。

しかし、チャノス氏はあきらめない。
同氏の着眼点はバリュエーションだ。
(同じくテスラをショートするデービッド・アインホーン氏は、どちらかというとテスラの不正に着目している。)
チャノス氏は、市場がテスラをテクノロジー企業とみなし、高いバリュエーションを与えていると解説する。
同氏は、テスラと「自動車OEM」の財務情報を比較して言う。

ショッキングなのは、ほかの自動車OEMとほとんどかわらないことだ。
ほぼ同じ利ザヤ、資本利益率だ。
これはタフな商売なんだ。

もちろん例外もあるが、電機セクターは儲けるのが難しいセクターだ。
ソフトを組み合わせるなど、よほどうまく商売を組み立てないかぎり、すぐに厳しい競争にさらされる。
日本のエレクトロニクス産業が凋落したのはこうした流れだった。
自動車が電化されていくにつれ、自動車セクターにもこの波が訪れるのではないかとの心配があった。
従来からの自動車メーカーのバリュエーションはさえない。
テスラの場合、業績がさえない。
ただ、株価だけが上がっていく。
何がこうもテスラ株を押し上げるのか。
テスラはグロースなのか。

テスラの今四半期の売上高は過去6四半期とほぼ横ばいだ。
だから、成長するというシナリオでも・・・みんな先行き成長するという話を信じているが、テスラの成長率は急激に鈍化しているんだ。

もちろん成長するのは売上高である必要はない。
むしろ利益が成長する方が望ましい。
確かに最近のテスラの四半期の利益には通期での黒字化を期待させるものがあるが、いつか株価に追いついていくのか。

「テスラの株は、企業価値2,000億ドルにあたるところで売買されている。
これは売上高の8倍だ。
他の自動車メーカーのほとんどは売上高の1/4から1/2だ。」

テスラが優れた会社だとしても、果たして時価総額でトヨタと並ぶほどの会社だろうか。
そうした疑問を抱くことはむしろ健全なことだろう。
株価を正当化するものが規模でないとしたら何だろう。

「市場は、テスラに何か先進的なテクノロジーがあると考えているのだろう。
問題なのは、電池であれ自動運転であれ、みんなが期待している分野でテスラは市場のリーダーになっていないことだ。」

チャノス氏は、電池ではパナソニック、自動運転ではアウディが先んじていると話す。
それなのに、テスラには自動車メーカーとしても、エレクトロニクス・メーカーとしても破格の株価がついている。
チャノス氏は、投資家が自身の希望をテスラに投影しているのだと解説する。

この会社はみんなが企業や投機のどこを見ているかの素晴らしいバロメーターだ。
みんな、自分が見たいと望むようにテスラを見ているんだ。


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