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ダウ平均30,000へ:ジェレミー・シーゲル

ウォートンの魔術師ことジェレミー・シーゲル教授が、ダウ平均30,000を予想している。


30,000は、あと約6%と今年これまでの半分にすぎない。
・・・貿易摩擦こそ市場が直面する重大事だ。
もしも(中国との)第1段階の合意に達し、トランプが欧州との関係を正常化し、米国がカナダ・メキシコとの協定を調印すれば、6%(上昇)はむしろ控えめだ。

シーゲル教授がCNBCで《永遠のブル》らしい強気予想を語った。
市場最高値を試し続ける米市場について、教授は3点、強気を支えるポイントを挙げている。
・米中合意への期待
・外国経済改善の兆し
・1.7%と低水準の長期金利
シーゲル教授はこの3点から「これで株を選好しないわけがない」と話す。
ただし、最近の教授には慎重な発言も目立ってきている。

(貿易交渉で合意したとしても)米市場は安くはない。
みんなそれはわかっている。
PER 19倍から6%上がれば20倍だ。
そこからまだ上昇するには、来年の経済が良好でなければならない。
だから、第1段階の合意で上昇し(ダウ平均が)30,000に上がり、そこからは少し難しくなると見ている。

やや慎重な言い方だが、少なくともダウ平均30,000まではある程度の確信をもっているようだ。
国内経済のデータに明るいものが続いているほか、外国経済にも薄日が差している。
欧州経済に回復の兆しが見えだしたとし、仮に来年改善に向かうなら新興国市場にも波及すると予想した。

「S&P 500の利益の4割超は外国売上から来ている。
米国だけでなく、外国経済を見ないといけない。」

一方、さすがの米市場・メディアでも慎重論がないわけではない。
今の米市場は《強気相場が心配の壁を登る》ような状態なのかもしれない。
キャスターは、バフェット指標(S&P 500時価総額÷GDP)が148%あまりと高い点を指摘した。

しかし、シーゲル教授は理路整然とバフェット指標の有効性を否定している。
同指標は「市場バリュエーションを語る上で良い長期的指標ではない」という。

私はウォーレン・バフェットを敬愛している。
でも、いつも対GDP比率には疑問を呈してきた。
先ほどいったとおり、40%の利益は外国売上から来ているからだ。
つまり、株式の40%の価値は米国のGDPと比べるべきものでなく、世界のGDPと比べる必要がある。

理論的に完璧な反論だ。
先進各国の上場企業業績の外国依存度(特に新興国市場への依存度)が上昇するにつれ、バフェット指標の理論的正当性は薄れてしまった。
(ただでさえ、バフェット指標には、分子と分母の間に母集団の相違が存在する。)

シーゲル教授はこうした議論をこれまでいくつも経験している。
以前は、朋友ロバート・シラー教授のCAPEレシオを批判したことがある。
CAPEの計算で用いる利益をS&P 500指数の利益とせずにNIPAの利益とすべきというものだった。
この対立ではシラー教授の方に分があった。
この時、奇しくもシーゲル教授はバフェット指標に似た概念を主張したのだ。
この相反する主張に共通する点は明白だ。
《永遠のブル》が概して、割高を主張するための指標を好まないということだ。

米市場の心理が目覚ましく改善しつつあるのは間違いない。
その中で貿易摩擦が最大の重大事というのも、多くの市場関係者が話していることだ。
ただし、こうした雰囲気には危うさもある。
本当に貿易摩擦が最大のリスクなのか。
それを大騒ぎしすぎることで、他の大きなリスクが見えにくくなっているということはないか。


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