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タダ酒は飲み続けるしかないが・・・:モハメド・エラリアン

アリアンツ首席経済アドバイザー モハメド・エラリアン氏は、インフレに影響を及ぼす構造変化が見られるとして、インフレを一過性と決めつけるべきでないと話した。
投資家への推奨を求められて語った内容が、なんとも救いのないものだった。


疑いようもなく一過性の要因もある。・・・
しかし、需給の構造変化の基礎となるものの証拠が増えている。
これが示すのは、持続的なインフレ圧力に対して『開かれた心』を持つべきということだ。

エラリアン氏がFOX Businessで、インフレの動向について先入観をもって臨むべきでないと話した。
ベース効果や短期的な需給のミスマッチなどは一過性の要因だが、一方で構造変化の兆しもいくつか見受けられるためだ。

エラリアン氏によれば、パンデミックの前、ディスインフレから逃れ切れていない時代には「総需要不足」が課題とされていた。
これには人口動態など構造的要因も存在した。
ところが、パンデミックが峠を越え、経済再開が始まると「完全に異なる需要のパラダイムに行き着いた」のだという。
パンデミック前からいくつも明らかな変化があった。

  • 家計: 高い貯蓄率、抑制された消費。
  • 政府: 数兆ドルの支出が続きそう。
  • 供給サイド: 産業集中。
  • サプライチェーン: 見直しの機運。
  • 雇用: 需給のミスマッチ。

これらのいくつかが今後数年続くだろうかと自問しないといけない。
それがわからないなら『開かれた心』を持ち続けるべきなんだ。

これまでのディスインフレを支えてきたものに技術革新があった。
エラリアン氏は、それが重要な要因であり今後も続くとしながら、「破壊の大半はすでに終わった」と予想している。

エラリアン氏は、インフレを一過性とするFRBの「マントラ」を否定しているわけではない。
決め打ちは危ういと言っているのだ。
実際、企業からの声では、インフレ圧力の強さが感じられている。
同氏によれば、FRBがこのマントラを取り下げる可能性も十分あるという。
ただし、マクロ経済学者の性ゆえに、時間がかかると説明している。

「マクロ経済学者は通常ミクロ・データを加え産出ベースのマクロ・アプローチを変更するのに大きな困難をともなう。」

海外でのインフレ懸念の議論をする時、日本人の中には相当ズレた人がいる。
おそらく欧米への渡航経験がないためだろうが、インフレの現実味・切実感を理解できない。
日本でのディスインフレ予想は分のいい賭けだろうが、欧米でのインフレ昂進の確率を過小評価すべきでない。
違う世界の話として可能性を吟味し、それが自分に及ぼす影響を考えておくべきだろう。

FRBがマントラを唱え続けている間、投資家はどう行動すればよいのだろう。
エラリアン氏はFRBを、タダで飲み物を振舞うバーに喩えている。

誰かが『数時間のうちにタダの飲物のサイズが小さくなるよ』と教えてくれたとする。
今飲むのをやめはしないだろう。・・・
大きな問題は、FRBが後手に回るリスクを長く取るほど、将来の市場の調整が大きくなるということだ。

将来テイパリングが起こることがわかっていても、今与えられる振る舞い酒を敬遠する理由にはならない。
タダ酒が飲める限り飲むというのが合理的な行動だ。
これは、現状が仮にバブルであっても変わりはすまい。

エラリアン氏はこれまでさかんに市場で「合理的バブル」が発生していると話してきた。
同氏は今回、レオン・クーパーマン氏の言葉を引用して、視聴者にアドバイスしている。

私は目いっぱい投資しているベアだ』とクーパーマンが言った。
これが示すのは、市場に不安を持っている人でさえ投資せざるをえないということ。
今は良いニュースだが、流動性パラダイムの心理にひびが入るなら、彼らは単なるベアになり、目いっぱい投資しないだろう。

宴もたけなわ。
すでにサイクルは、みんなが喜ぶプレゼント配布の時間を終えたのだろう。
今は最後の音楽が流れ、たくさんの人がやけに少ないイスの周りを回り始めているのかもしれない。
それでも勝ち組は残る。
また、インフレの心配が、不参加者にペナルティを与えるのではとの恐怖を植え付けている。
だから、みんな回り続けるのだ。


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