デニス・ガートマン氏が、信用取引総額の減少に注目し、市場の分岐点が近いと予想している。
この指標は、私が市場での50年近い経験の中で注目すべきと学んだ最善の株式市場の先行指標の1つだ。
ガートマン氏がBloombergで、相場を占う上での重要指標の1つとして信用取引の総金額を挙げている。
同氏のデータ選びは概して常識的であり、議論に無理がない。
もちろん予想だから外れることも多いが、おかしな議論に乗っかって間違えたという話にはならない。
(また、幸い数年前の大スランプを脱出したように見える。)
それにしても人類は長寿になり、私たちは長い間社会生活をできる、あるいは、しなければならなくなった。
かつての国民的アニメ・漫画『ど根性ガエル』に登場する町田先生は、教え子たちの不遜な仕打ちを受けると「教師生活25年、・・・」と語りつつおいおいと泣く。
大ベテランとの設定だが、それでもまだ僅か25年にすぎない。
世界は今や投資キャリアだけで半世紀を超す著名投資家で溢れている。
「人生50年」は遠い昔だ。
こうした人たちの経験談を私たちはどう受け止めるべきだろう。
ガートマン氏は、パンデミック以降15か月連続で増加してきた信用取引総額が7月に減少した点を重視する。
信用取引総額を優れた先行指標と見る同氏にとっては、これは大きな脅威なのだ。
賢く洗練されたスマート・マネーが7月以降、市場を離れているのではないか。
とても不穏だ。
信用取引総額は株式市場の上下に対し2-4か月、時としてそれ以上先行する傾向がある。
信用取引総額が減少している場合、株式市場について用心すべきだ。
ガートマン氏が「スマート・マネー」に言及したのは、現在の市場参加者があまりにもダウ平均・S&P 500・NASDAQにばかり注目し、より広い市場への注意が足りないためだ。
「スマート」ならばRussell 2000などにも注目し、主要3指数と異なる傾向を示し始めていることに気づくはずと示唆している。
また、最近のAmazon株の不振にも言及し、今後他の銘柄に波及する可能性を匂わせた。
ガートマン氏は、投資家心理の変化がすでに始まっていると話す。
2009年からの長い強気相場が各国の金融緩和によるものとの考えから、テーパリングが市場に悪影響を及ぼすと予想している。
「みんな、避けられないFRBの拡張的政策のテーパリングについて話している。・・・
何が起ころうが、FRBは間違いなく今後2-4か月のうちにテーパリングのプロセスを始めるはずだ。
お金が市場に流入し、そして株式市場から出ていき、拡大する経済に向かう。」
株価下落を予想する割に、ガートマン氏に悲壮感はない。
これが過去に何度も経験してきたことにすぎず、経済は良い状態にあるからだ。
これは分岐点で起こることだ。
株式は経済が上昇に転じる前に上昇し、経済が下降に転じる前に下落する。
株式は下落を始めるだろうが、経済の方はブームとまではいかなくてもかなり強いままだろう。