海外経済 国内経済 投資

スタグフレーション的な債務危機が近い:ヌリエル・ルービニ
2021年7月2日

ヌリエル・ルービニ ニューヨーク大学教授が、近いうちにスタグフレーションと債務危機が併存する危機がやってくると警告している。


現在は、スタグフレーションの1970年代と(リーマン危機の)2007-10年の両方の最悪の要素が残っている。

ルービニ教授がProject Syndicateで《終末博士》の異名どおりの不吉な予想を述べている。
米国がスタグフレーションに苦しんだ1970年代、それでも債務の水準は現在よりはるかに低く、債務危機の要素はなかったという。
ただ、この時代は供給ショックが物価を押し上げた点で現在と共通しており、4月に警告したよりリスクが高まっているという。

一方、リーマン危機はデフレ的な危機だった。
この危機は、債務が過剰になっていたという点で現在と似たところがある。
教授は、今後この2つのリスクが現実のものとなり「スタグフレーション的な債務危機」に発展する土壌が出来上がっているという。

今のところは拡張的な金融・財政政策が資産・信用バブルに油を注ぎ、スローモーションの列車事故を引き起こすだろう。・・・
ある時点でこのブームはミンスキー・モーメント(突然の自信喪失)を迎え、金融引き締めが破裂とクラッシュの引き金を引くだろう。

「スローモーションの列車事故」とは、良くないことが進行しているのにどうすることもできない、ゆっくりと進行していき破綻を迎えるというニュアンスだろう。
ルービニ教授は、私たちがスローモーションで見る光景として、高PER、株式リスクプレミアム縮小、住宅高騰、テクノロジー株高騰、SPAC、暗号資産、ハイイールド債務、CLO、PE、ミーム株、ロビンフッド投資家を挙げている。
いずれも私たちが危うさを感じつつ、見過ごしている光景だ。
これら現象の背景には金融・財政政策がある。
金融政策の副作用が見過ごされてしまう理由の1つは、金融政策が事実上財政従属に陥っていることだ。
少なくとも当面はよほどのことがない限り引き締めに舵を切るのが難しい。
それをやるなら、経済・市場に大きな災難が降りかかるのを覚悟せざるをえない。

ルービニ教授は、少なくとも2018年12月以降FRBが「債務トラップ」に陥っていると指摘する。
金融政策正常化を図ろうとすると金融市場が荒れ、結局元に戻らざるをえない状況だ。
つまり、列車事故を回避するのは難しいということだ。

ECB・日銀・BOEも同じだ。
1970年代のスタグフレーションが2008年以降の債務危機とともにすぐやってくるだろう。
問題は、やってくるかどうかではなく、いつやってくるかだ。


-海外経済, 国内経済, 投資
-,

執筆:

記事またはコラムは、筆者の個人的見解に基づくものです。記事またはコラムに書かれた情報は、商用目的ではありません。記事またはコラムは投資勧誘を行うためのものではなく、投資の意思決定のために使うのには適しません。記事またはコラムは参考情報を提供することを目的としており、財務・税務・法務等のアドバイスを行うものではありません。浜町SCIは一定の信頼性を維持するための合理的な範囲で努力していますが、完全なものではありません。 本文中に《》で囲んだ部分がありますが、これは引用ではなく強調のためのものです。 その他利用規約をご覧ください。