国内経済

スキームは近く崩壊する:伊藤隆敏教授
2021年12月24日

伊藤隆敏コロンビア大学教授は、日本の社会・経済においてはMMTは持続可能でないとして、財政政策の中身に注文を付けている。


他の国々は日本をまねる前に、日本国債が円建てで発行され、ほぼすべてが日本の居住者により直接・間接に金融機関や中央銀行を通して保有されていることを勘案しなければならない。
これにより日本は、国債が世界中の投資家によって保有されている米国とは相当に異なっている。

伊藤教授がProject Syndicateで、日本がデファクトのMMTの成功例のようにとられることを危うんでいる。
パンデミックによって世界中で公的債務が拡大した。
しかし、金利が低下しているために、やや危機感に欠ける風潮がある。
低金利にはいくつも理由があろうが、その1つが中央銀行による量的緩和だ。
特にインフレが上昇している今、のんびり構えていられなくなるかもしれない。

伊藤教授はMMTについてオーソドックスに問題点を指摘している。
出口戦略の実現可能性、実現した場合に予想される困難などだ。
しかし、この論文で重要なのはそうした聞きなれた議論ではない。
公的債務拡大の恩恵を現在の世代が受け、将来に付け回すことを戒めている点にある。
あるいは、永遠に債務を拡大し続けることの是非である。

MMTの妥当性は一部、予想される実質(インフレ調整後)1人あたり国民所得に依存する。
もしも人口が増加し、将来世代が現在世代より裕福になるなら、現在の国債発行の『負担』は本当に小さくなる。・・・
ポンジ・スキームと同様、これはピラミッドの底辺が拡大を続ける場合のみに機能する。

伊藤教授は、米国なら可能性がなくもないと示唆する。
ピラミッドの底辺が拡大を続ける可能性がゼロではないからだ。
一方で、日本では成り立たないとし「スキームは近く崩壊する」と予想している。
高齢化が進み、30年間1人当たり国民所得が低迷する国では、ピラミッドを支えるのに十分な底辺が不足するためだ。

伊藤教授は、今後の日本の財政政策についていくつか注文をつけている。

  • 再分配: 世代間(借金の付け回し)でなく、富裕層(多くは高齢者)からの移転としなければいけない。
    仮に社会保障が寛大すぎるなら、削減すべき。
  • 歳出: 将来の成長のための投資(人的資本や技術革新など)へのワイズ・スペンディングに徹するべき。

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