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ジョージ・ソロス副官が語るジョージ・ソロス像

2017年からSoros Fund ManagementのCIOを務めるドーン・フィッツパトリック氏が、ファンドの投資戦略、資産クラス、ボスの横顔などについて話している。


私は投資家として、リターンに目標を設定するのは少し危険だと考えている。
良いチャンスがない時期には、誤ったタイミングでレバレッジを高めかねない。

ソロス・ファンドのフィッツパトリック氏がBloombergのインタビューで、投資リターンに硬直的な目標を設定することの弊害を説明した。
同社では、相対リターンと絶対リターンの双方に目配りしているという。
また、運用資産の90%のオーナーであるオープンソサエティ財団の資金繰りには配慮が必要としている。

「オープンソサエティ財団は年平均12.5億ドル、2020-21年はコロナでそれ以上支出する。
私たちはその支出を支えつつ、運用資産を増やす手助けをしている。」

1970年、クォンタム・ファンドとしてスタートした同社は、その後ジョージ・ソロス氏のファミリー・ファンドとなった。
ソロス氏は同ファンドの運用資産の9割をオープンソサエティ財団に寄贈している。
つまり、ソロス・ファンドの最大の投資家は同財団であり、次がソロス家である。
一般のファンドとは異なり、運用成績が振るわなければ、すぐに運用会社を変えられてしまうタイプの組織ではない。
オープンソサエティ財団もソロス・ファンドも代表者は同じソロス氏だからだ。
(もちろん運用者の職については定かではない。)
270億ドル(約3兆円)を運用し、従業員数220名だという。

フィッツパトリック氏は大学時代は陸上のスター選手で、ウォートン校出身。
2017年、UBSアセット・マネジメントから転じて、ソロス・ファンドのCIOに就任した。
以降、数々の戦略・組織変更を主導してきた。
(事実上の実務責任者の重責を果たしつつ、本人も10億ドル超の資産の運用を受け持っているという。)
最大の変化の1つは、お家芸だったマクロ投資の縮小だ。

「マクロ運用者の裁量に任せる配分総額としては、歴史的な水準よりはるかに小さくなっている。」

かつてBOE・BOJ連合軍を破ってポンドを売り崩した伝説的マクロ・ファンドは、今やマクロ運用への配分を5%程度まで落としているのだという。

ミクロ運用の性格を強めているソロス・ファンドは、どのようなミクロの投資対象に投資しているのか。
フィッツパトリック氏によれば、未公開市場と公開市場で半々になっているという。
(公開市場については、その75%を内部で運用し、25%を外部ファンドに委託していると明かした。)
同氏は、現時点に限って言えば、公開市場の方にチャンスが多いと話している。

みんな『高く買って安く売る』のをどうにか防ぎたくて、自然と未公開市場に引き寄せられるのだろう。
未公開市場を公開市場の比較対象と比べたデータを見ると、ベータ調整後、トップ運用者ではなく平均で見ると、みんなが思うほどのアルファは見られない。・・・
未公開市場のバリュエーションは公開市場の比較対象より行きすぎているように見え、注意すすべきだ。・・・
今のところ、未公開市場は少しバブル気味で、公開株側は良いチャンスだと思う。

フィッツパトリック氏のこの見方は、あくまで足元の状況に限った話だ。
同氏は、未公開株が割高となった理由をFOMOやパンデミックと分析し、同市場を割高にした株価上昇に理由がなかったわけではないとの見方を示唆している。

投資の一線からはすでに退いているソロス氏について尋ねられると、フィッツパトリック氏は少々抽象的にだが、ソロス氏の横顔について語っている。

彼は私が見てきた中で最も驚異的な情報の統合者・吸収者だ。
なぜ彼が時代を通して最高の投資家だったかは容易にわかる。
彼は90歳だが、まだ疲れ知らず、怖いモノ知らずだ。・・・
まだ市場に対して強い考えを持っていて、それを共有するのをはばからない。


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