ジム・ロジャーズ:政府の怠慢、中央銀行の誤謬

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冒険投資家ジム・ロジャーズ氏が日経QUICKニュースのインタビューに応じている。
日米の政治・中央銀行の怠慢・誤りを厳しく批判している。


「FRBは2年にわたって政策金利を引き上げているが、いまだに金利の水準は低い。
FRBはやるべきことはわかっているが、実行できておらず、いまだに過剰な資金を市場に供給し続けている。
過剰流動性を背景にバブルは膨らんでおり、問題の解決が遅れれば遅れるほど深刻になる。」

従来から先進各国の強力な金融緩和に反対を唱えてきたロジャーズ氏が、遅々として進まないFRBの利上げに危機感を募らせている。
利上げサイクルに入ってから21か月も経つのに、利上げ幅の合計はわずか1%。
従来の1/3程度のペースだ。
しかも今回の場合、利上げのスタート地点はゼロ金利とそもそも低かった。
腫れ物に触るようなFRBの利上げを横目に、米国株は史上最高値を試し続けている。
非常時対応の金融政策が継続する中で、株価は史上最高値を更新しているのだ。

実効FF金利(青、左)と米株価(S&P 500指数、赤、右)
実効FF金利(青、左)と米株価(S&P 500指数、赤、右)


FRBは今月にもバランスシート縮小に着手するものと見られている。
こうした引き締め策がどれだけ市場金利を引き上げるだろう。
資産価格の上昇ペースを緩やかにするほど、将来の金融緩和のために金利を高い水準に誘導しておくほど、次の景気後退局面でのリスクを軽減できる。
逆にこうした手当てが進まなければ、金融危機再来の可能性さえ無視できなくなる。
ロジャーズ氏は以前から「70年余りの人生で最悪のクラッシュがやってくる」と予言している。

ロジャーズ氏は、あいかわらずアベノミクスやQQEについても批判的だ。

「日銀がマイナス金利を採用したり、株式を購入したりしている。
短期的には株式相場にとってプラスだが、中長期的な観点からは日本経済にマイナスだ。」

ロジャーズ氏はこれまでもアベノミクスをほぼ全否定してきた。
トレーダーを儲けさせることはできても、全体として国民を貧しくすると批判してきた。
長い人生の経験から、経済・市場の世界にフリー・ランチはないことを知っているのだ。
今いい思いをすれば、いつか借りを返さなければいけなくなる。
問題の先送りではなく解消を図るなら、構造的な解決策が必要と考えているのだ。

外需依存の成長と人口オーナスは日本の重大な構造問題。
これに手を入れようとしても財界や保守層から強い反発を受ける。
日本の政治はこれら本質的な構造問題を直視したがらない。
ロジャーズ氏はずばり本質を突く。

「経済を活性化するには、貿易をより自由化し、移民を受け入れる必要がある。
日本では少子・高齢化の問題が深刻で、人口動態に働きかける政策が必要だ。」

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