ジム・ロジャーズ氏の被弾で垣間見えたインドの勘違い

ジム・ロジャーズ氏が印メディアに出演し、意外な結末になった。
そこからは、現在のインド人の思い上がりともいえる勘違いが垣間見える。


「モディ首相は選挙に勝つためにあらゆることをやるだろう。
可能ならば、インド中で票を買いまくるだろう。
・・・それは間違いだ。
しかし、それは米国を含む世界中の政治家がやっていることだ。
私は政治家のそういうところが嫌いだし、インドの政治家のそういうところが嫌いだし、米国の政治家のそういうところが嫌いだ。
でも、不幸なことに世界はそう動いているんだ。」

総選挙を控えたインドのバラマキ暫定予算についてコメントを求められ、ロジャーズ氏は得意のロジャーズ節で返した。
財政政策は短期的には景気を浮揚させるが必ず反動をともなうと指摘し、年後半か来年以降に問題化するだろうと予想した。
アウェイで語るにはややシニカルかもしれないが、これはこれで一コメンテーターのコメントとしてふさわしいものだった。
ところが、他のコメンテーターのコメントを挟んで事態は意外な方向に向かった。
キャスターが3年前のロジャーズ氏の発言を掘り出して、喚き散らしながらロジャーズ氏を責め立てたのだ。

「『インド政府は経済学を理解していない。
経済学を理解しないインド政府は経済や市場に干渉すべきでない。』
でも、ジム、インドは7.5%成長が予想されている。
世界の他の国が経済学を理解していないんだ。
経済学を理解している国があるとするなら、それはインドなんだ。」

実は、このチャンネルとキャスター(経営者)は札付きなのだ。
何で札付きかと言えば、偏向報道が多く、かつ、単にうるさいとも批判されている。
キャスター自ら狂ったように喚き散らすさまは異様だ。
その後も、インドが莫大なFDIを受けつつある点を引き合いに出し、予想が外れたと批判を続けた。


一方のロジャーズ氏もさすが世界中を旅した冒険家だ。
ひるむことなくチクりと返している。

「その数字が正確なら、とても印象的だね。
誰かインドに投資するんだろうが、私はしない。」

ロジャーズ氏のそもそもの問題意識は世界的に債務が過剰なまでに積みあがっているのではないかということだ。
それなのに、このキャスターは借金ができることを誇りにしており、まったく話がかみ合わなかった。

この番組は質の悪い例にすぎない。
しかし、最近こうしたインド人の認識が垣間見れる機会が増えてきたように思う。
まともな経済チャンネルでもそれが感じられることがあるのだ。
米国などから高名な経済学者・投資家を招きインタビューをする。
そこでインドについても尋ねるが、外国人からするとモディ政権やその傀儡となった中央銀行の手腕を高く評価しているわけではない。
そっけない返事をされて、インド人が意外そうな顔をする。
どうやら現在、インド人は自信満々なのだ。

おそらく背景には長年のライバル 中国の苦戦があろう。
あたかもインドが世界のトップを走っているかのような高揚感に包まれているのだろう。
なんとも既視感の感じられる話ではないか。
かつて日本や中国が感じた高揚感ではないか。
つい最近も、日本は再び自己満足の罠にとらわれかけたことがあった。

ロジャーズ氏の発言にはもちろん彼らしいエンターテインメントの観点が織り込まれている。
しかし、そこには重要な真実がある。
インドが成長するのはすばらしいことだが、それが債務拡大に依存するものであるかぎり要注意ということだ。
そのことは、日本、そして長年のライバルの苦戦が何よりも雄弁に物語っている。


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