政治

ジム・ロジャーズ氏に自由貿易・技術移転を語らせた企業

ジム・ロジャーズ氏が天国のような背景の中で開かれた通商・技術移転を説く、不思議なビデオが公開された。


1950年代、米国は車、テレビ、ラジオを製造していた。
しかしそのうち日本がやってきて、アルミや鉄鋼の製法まで含めてすべてを米国から学んだ。
次に韓国や他の国々がやってきた。
私は米国で育ち、うちのテレビはゼニス製だった。
ゼニスのテレビがなくなって喜んでいる。
他の会社がもっといいのを作ってくれるんだから。

ロジャーズ氏が「協働と開放」と題した、不思議な雰囲気を持つビデオで、開かれた国々、技術の伝承のメリットを語っている。
自由な通商や国家間の技術移転が世界の発展に役立つとの主張だ。
1980年代に米国との間で過酷な貿易摩擦を経験した日本からすれば、ぜひともその頃に議論してほしかったテーマだ。

予想可能な将来に私たちは再び経済的に困難な時代を迎えるだろう。
今回は多くの理由から、私の人生で最悪のものになると心配している。
しかし、それをさらに悪化させ恐怖を生み出すのは、国々が門戸を閉ざし、貿易戦争を行い、経済や技術を隠し守ろうとすれば、みんなが損をすることは歴史が示している点だ。

人生最悪の困難がやってくるというのはロジャーズ氏の近年の口癖だ。
いつもなら「理由」としてリーマン危機後にさらに積み上がった債務の話がくる。
しかし、今回のテーマは債務ではない。
あくまで開かれた国家、とりわけ技術だ。

このビデオに違和感を感じざるを得ないのは、公表元を知ればすぐわかる。
この壮大なテーマのビデオを作成・公表しているのは、トランプ政権から執拗に叩かれたHuawei社なのだ。
バイデン政権になれば、より理論的に技術分野に重点を置いた攻撃を受けることになるかもしれない。
それを恐れた情宣ビデオということだろうか。
そこに意を同じくするロジャーズ氏が一役買ったということか。

ロジャーズ氏の主張はいずれも理屈として正しいものだと思う。
ただ、理屈の外、具体論では、中国を逆に批判すべき点が多く存在するのも事実だろう。
そこを度外視することには、やはりバランスを失していると指摘せざるをえない。

かつて日本が執拗に叩かれたのは、日本が立派な国家に成長したことも大きい。
立派な国が相応の責任を果たすよう求められたのだ。
中国はすでに日本を抜いて世界第2位の経済である。
購買力平価でいえば第1位だ。
現在の中国のやり方・振る舞いはすべて立派な国にふさわしいものといえるだろうか。
経済でいえば、No.1の国に途上国のような優遇はもちろん必要ないはずだ。


-政治
-,

執筆:

記事またはコラムは、筆者の個人的見解に基づくものです。記事またはコラムに書かれた情報は、商用目的ではありません。記事またはコラムは投資勧誘を行うためのものではなく、投資の意思決定のために使うのには適しません。記事またはコラムは参考情報を提供することを目的としており、財務・税務・法務等のアドバイスを行うものではありません。浜町SCIは一定の信頼性を維持するための合理的な範囲で努力していますが、完全なものではありません。 本文中に《》で囲んだ部分がありますが、これは引用ではなく強調のためのものです。 その他利用規約をご覧ください。