ジム・ロジャーズの北朝鮮戦略に再び壁が

ジム・ロジャーズ氏の北朝鮮戦略にまた大きな障害が現れた。


北朝鮮の金正恩 朝鮮労働党委員長が韓国に対する姿勢をいっそう硬化させているからだ。
韓国は文在寅 大統領の下、北朝鮮寄りの外交スタンスをとってきたが、このところ北朝鮮は真逆の方向性を示している。
23日の報道では、金委員長が、北朝鮮の景勝地 金剛山での韓国との過去の合同プロジェクトを完全に撤去するよう命じたという。
同地域内の韓国資本の施設を撤去し、北朝鮮独自の観光開発に乗り出すという。
金剛山への観光ツアーは2008年に起こった北朝鮮兵士による韓国人観光客射殺以来、停止されている。

ロジャーズ氏が昔から北朝鮮を残された数少ない有望な投資フロンティアと見てきたことは有名だ。
米朝首脳会談後、北朝鮮への制裁解除への期待が高まると、ついにチャンス到来かと期待を膨らませたのだろう。
韓国をはじめとする多くのメディアに出演し、北朝鮮投資の可能性について語っている。
また、この可能性の邪魔となる存在を疎ましく感じたのだろう。
あろうことか、日本の外交スタンスを批判するような発言までして、メディアに流されてしまった。
その分析が完全な間違いとは言わないまでも、その言い方は少々感傷的であった。
日本にもファンの多い投資家であったが、この件で少なからぬファンを失ったことだろう。
まったく不必要な発言であった。


もっとも、ロジャーズ氏の視線はもはや日本には向いていない。
米中首脳会談以来、どうやって北朝鮮に(まだ制裁がある中で合法的に)投資をするかが同氏の課題だった。
その1つが、韓国のリゾート開発会社Ananti社の独立取締役への就任だ。
同社は金剛山にゴルフ・リゾートを保有しており、2008年の事件で閉鎖に追い込まれている。
Anantiは北朝鮮ビジネスに投資を行った唯一の韓国民間企業と言われることもあり、南北関係が改善すればロジャーズ氏がターゲットの1つとする北朝鮮観光への大きな足掛かりとなるのだ。
ところが、今回の金委員長の指示は、その可能性を大きく後退させるものだった。
ロジャーズ氏の念願がかなう日はまだまだ遠そうだ。

もっとも、ロジャーズ氏の北朝鮮へのスタンスはすべてが一貫したものではない。
2017年3月の時点でも南北統一の時期が近いと語っていたが、そのプロセスは北朝鮮が内部崩壊するというものだった。
これは、米朝首脳会談の頃に想定されたシナリオとはかなりイメージが異なる。
ロジャーズ氏にとってはフロンティアへの扉が開かれればそれでいいわけだ。
次にロジャーズ氏はどんな切り口でこの夢をつないでいくのだろう。


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