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ジム・チャノス、ウォーレン・バフェットにもひるまず
2019年9月26日

Kynikos Associatesのジム・チャノス氏が、腎臓透析の米企業DaVitaにショートを仕掛けている。
DaVitaはウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハザウェイが筆頭株主で、約24%の株式を保有している。


何より重大なのは、この春にFlorida Blue Cross(非営利保険会社)から訴えられたことだ。
これで、いうなれば保険金受取詐欺の全貌が明らかになった。

チャノス氏がCNBCで、DaVitaの事業モデルを「詐欺」(scam)と称している。
同氏はDaVitaの行ってきたことを説明した。

「DaVitaはメディケア・メディケイドの患者を移行させようとした。
透析患者のほとんどは高齢で低所得だ。
DaVitaは彼らをオバマケアの保険制度に移そうとした。
・・・
新たな制度では、営利保険にメディケア・メディケイドの3-4倍の保険料を課した。」

ただし、ここまでは患者の同意がある限り何の問題もない。
実際、高い保険に移れば医療の内容・利便性も増すはずだからだ。
もちろんいいことばかりではない。
最大の問題は、患者の経済的負担が増えることだ。
実際、多くの患者が保険料の支払いができなかったのだいう。

「そこで、DaVitaと業界2位の Freseniusは患者を米腎臓基金に斡旋した。
この基金は昨年DaVitaとFreseniusが資金の約90%を提供した慈善団体だ。
米腎臓基金はオバマケアの保険料の一部または全部を支払った。」

つまり、自社がお金をつけている基金から売上金を回収したというわけだ。
しかし、これでも詐欺という話ではないだろう。
では、何が「詐欺」なのか。
DaVitaが米腎臓基金に対し支援対象を名指しで指名していたことが、内部告発で判明したのだという。

「これが事実なら、大きな法的問題になる。
・・・これは詐欺だ。
これは連邦メディケア法、キックバック禁止法の違反だ。」

確かにきちんと調べるべき事案のようには思えるが、どうにもパンチが弱いように聞こえる。
チャノス氏はこの他にも、オピオイドにかかわる運用に問題が指摘されている点、調整後の利益が成長していない点を挙げているが、こちらもとうてい株価急落を引き起こすような話には聞こえない。
チャノス氏は、この銘柄のどこに惹かれたのだろう。

1つの手がかりは、DaVitaの事業モデルに循環取引が入り込んでいる点だろう。
これは2001年エンロン破綻でも見られた要素であり、チャノス氏はそれを暴いて一躍有名になった人物だ。
自身のようなショート・セラーを「市場の捜査官」と自負している。

DaVitaの売上の一部が自身の拠出した資金だとすれば、それは真正の売上・利益なのか。
こうした問題提起はチャノス氏が得意とする分野なのだろう。

いずれにせよ、保険会社がこうしたことにかかわるのは良くは見えない。
バークシャー・ハザウェイは・・・保険会社じゃないか。


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