ジェローム・パウエルは市場に屈服した:ジェフリー・ガンドラック

新債券王ことDoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏が、FRBがハト派に振れた胸の内を語っている。
ハト派に振れたことを喜ぶのは、そうなった背景を考えると早計と暗示した。


彼は株式市場に屈服したんだ。
株式市場が彼を脅したんだ。

ガンドラック氏がReutersに語った。
ジェローム・パウエルFRB議長は昨日のFOMC後の会見で、従来に比べ大きくハト派寄りにスタンスを変えて見せた。
利上げだけでなく、量的引き締め(バランスシート縮小)についても「辛抱強く」あたるとトーン・ダウンした。
経済の不確実性などを理由に挙げたが、米経済については依然として堅調との見方も多い。
1番変わったのは市場環境・市場心理だろう。
だから、ガンドラック氏は、FRBが市場に屈服したと見ているのだ。

「仮にFRBがそう言わなくても、量的引き締めのペースを落とすことを示唆している。
必要ならFRBはバランスシートを拡張するだろう。
FF金利を引き下げても経済・市場を支持するのに十分でない場合について言及された、他の政策ツールのうち名指しされなかったのはQEだ。」

つまり、FRBがハト派に寄った根拠は、潜在的に景気後退の可能性が懸念されるためだ。
そして、それが実現した場合、FRBは量的緩和に逆戻りすると予想しているのである。
経済が強いことだけを前提として利上げ・量的引き締めを進めるわけにはいかなくなったのだ。


「パウエル議長が言っているのは基本的に、塹壕に戻って次にどう動くか決めようということ。
『何も言いたくない。
過去の発言にとらわれたくない。』
と言っているんだ。」

かつてなら、こうした状況をゴルディロックスととらえ、市場・経済は好感一色で迎えただろう。
しかし、今回はまだわからない。
昨日の米市場は素直にFRBのハト派スタンスを好感し急伸したが、これは続くだろうか。
FRBのハト派スタンスは、米経済の悪化懸念を反映したものなのだ。
ガンドラック氏は一昨日、消費者が先行きの景気について心配を深めているとツイートしている。
昨日の上げについては「本当の計画を知らない」「バカ騒ぎ」と表現している。

能天気な株式市場が息を吹き返すなら、いわゆる《最後のひと上げ》が起こる可能性が出てきた。
米国の場合、資産効果が効きやすい構造であり、景気にとって資産価格が重要な意味を持っている。
経済を心配する人も、自分の懐を心配する人も、とにかく金融緩和を求めたがる。
景気が過熱していても、とにかくなんとか緩和的金融環境を維持しようとする。
今回の場合はインフレがまだ昂進していないから、屁理屈はいくらでもつく。
結果、経済が温まっている中でも緩和的な金融環境が温存され、《最後のひと上げ》が起こる。

一見喜ばしいことのようにも見えるが、決してそうではない。
過去の景気後退、特に前2回において、市場がバブル的になり、その後の下げがきつくなったことにこうした慣例が一役買っているからだ。


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