ジェレミー・シーゲル:雇用改善が最大のリスク

株式は債券をアウトパフォーム

「そうした10年債利回りの上昇でも、今後数年は債券リターンが奮わないことを意味している。
株式は容易に債券をアウトパフォームするだろう。」


シーゲル教授のライフ・ワークは、株式が債券をアウトパフォームするということ。
CAPMを知っている人ならお馴染みの議論だ。
少なくとも米国においては、この命題はかなりよく機能してきた。
しかし、それを「今後数年」という比較的短い期間にまで言い切ってしまうのは少々危険であろう。

趨勢的停滞論でもNew Normalでも、米経済・世界経済の成長が小さくなることを主張している。
だから、金利も小さくなる。
問題は、金利が小さくなる一方で、経済が生み出す付加価値も小さくなることだ。
それでも企業収益を維持したければ、労働分配率を引き下げることになる。
これが、近年世界的に起こっている現象だが、長期的にこれが持続可能であるかどうかは相当に疑わしい。

シーゲル教授はあくまで米市場の守護神なのだが、それでも米国株の相対的な割高感は否定できない。
米国株より新興国株、欧州株が割安だとして、ポートフォリオに地域的分散を増やすよう説いている。


雇用改善が最大のリスク

リスク要因について尋ねられると、経済面のリスクとして雇用の改善が継続することを挙げた。
月当たりの就業者数150-200千人が続くと米経済はますます自然失業率に近づくという。

「雇用の伸びをややペース・ダウンした方がいい。
景気後退を望んでいるわけではない。
熟練した能力のある労働者の数は、雇用の伸びについていけるほど大きくないからだ。
このままも雇用の伸びが続けば、ついに賃金に火をつけ、生産性の伸びを超える賃金上昇が始まってしまう。」

米市場は実はデフレやディスインフレの恩恵を受けていたのだ。
賃金も物価も上昇しない中、金融緩和は非伝統的手段まで擁して緩和的に据え置かれてきた。
これは多くの資産価格を上昇させてきた。
しかし、仮に賃金が上昇に転じ、インフレ色が鮮明になれば、FRBは引き締めに動かざるをえなくなる。

高い経済成長は企業収益にプラスだが、金利も上昇させる。
企業収益は高い金利によって割り引かれることとなり、間違いなく市場の上昇を停止させるだろう。


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