ジェレミー・シーゲル:雇用改善が最大のリスク

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ウォートンの魔術師 ジェレミー・シーゲル教授が、強気・弱気入り混じった予想をしている。
目下の最大のリスクは、雇用がこのままのペースで改善することなのだという。

「ちょうど今が(S&P 500の)フェア・バリューだ。」


シーゲル教授がAdvisor Perspectivesに話した。
低金利が平均より高いPERを正当化するという。
想定以上に低い金利が続いていることを考えれば、18-20倍のPERは合理的な範囲だという。
また、企業業績も教授の想定の範囲内だったと振り返った。
来月-再来月、減税案の経過次第でさらなる市場の上げ要因となるだろうという。

教授は今年をこう振り返った一方で、来年についてはEPSで年率5%拡大に落ち着くと予想する。
今年ほどの材料は今のところ見当たらないからだ。

来年は市場は難しい時期を迎えるが、必ずしも下げるとは限らない。
市場は2009年以降大きく上昇し、史上最大の強気相場の一つとなった。
(来年は)こうした上昇を消化する年になるだろう。

ボラティリティが低くなるワケ

シーゲル教授は市場のボラティリティが極めて低い現象について一つの解釈を与えている。

「ボラティリティを押し下げているのはFRBと債券市場だ。
悪い出来事が起こるたびに、投資家は国債に走り、利回りを押し下げる。
FRBが積極的な引き締めスタンスをおそらく後退させるという事実もまた株価にはプラスだろう。」


教授はこうした動きを「自己調整メカニズム」と表現している。
債券利回りの低下が株価を支えるという議論は確かにその通りだろうが、FRBがスタンスを緩和的にするという話は人為的であって「自己」ではない。
「おそらく」と言いながら「事実」と表現するあたりは「永遠のブル」と呼ばれる教授の危うさを感じさせるところだ。

低金利がすべてを正当化

これは世界中で積み上がる債務についての見方でも現れる。

「現在の史上最低水準の金利では、高い債務比率はまったく恐れる必要がない。
(高い債務対キャッシュフロー比率は)高い利払い費用比率を意味しない。)」

シーゲル教授によれば、企業は長期・超長期での資金調達を図っているからまったく問題がないのだという。
にわかには信じがたい話だ。
仮にほとんどの企業がこうした調達をしているなら、金利上昇時には債券投資家の側で大惨事が起こることになる。
教授の言い訳はある面正しく、ある面月並みなものだ。

「長年言ってきたが、長期債利回りで5-6%、FF金利で4-5%の時代には戻らない。
FF金利で2-3%、10年債で3-3.5%で頭打ちとなり、それが循環の最高点になろう。」

こうした議論は趨勢的停滞論やNew Normalといった考えと擦り合うものだ。
問題は、そこから導き出す結論がスクウェアなものかどうかだ。

(次ページ: 雇用改善が最大のリスク)

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