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ジェレミー・シーゲル ジェレミー・シーゲル:米国株はフェア・バリュー

金利と株価の2つの矛盾

ところが、この見方こそシーゲル教授の主張に矛盾を与えてしまう。
資産価格の定率成長モデルを思い浮かべればいい。
分母には(リスクフリー金利 - 利益成長率)が来るはずだ。
リスクフリー金利(多くは長期国債利回りで近似する)が下がる原因が経済にあるなら、それは多くの場合、利益成長率の低下を意味する。
結果、分母はたいして変わらないはずだ。
つまり、金利低下は(少なくとも中長期には)株価に大きな影響を与えないはずだ。
しかし、現実には米株価は金利低下とともに上昇することが多く、シーゲル教授も低金利を株高の正当化に使っている。


矛盾はもう一つある。
定率成長モデルで分子に来る利益だ。
この利益は低金利の恩恵を受けていないだろうか。
仮に影響を受けないとすれば、金融緩和による景気刺激策とはいったい何なのだろう。

この2つの矛盾を克服する一つの道は、資本への配分の強化だ。
経済成長は大きく資本と労働に分配される。
低成長でも資本への配分を増やせば株価が上がりうるのは、トマ・ピケティの主張のとおりだ。
確かに、この傾向はジェレミー・グランサム氏による企業の利益率の検証からも示唆される。
また、「ウォール街を占拠せよ」デモやポピュリズム台頭からも感じられる感覚である。
そうだとすれば、資本への手厚い配分は今後も持続可能なのかとの疑問が生まれてくる。

むしろバブル到来説の方がわかりやすい

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このところのシーゲル教授は防戦一方だ。
教授は、理詰めの投資を重視する、洗練された教科書作家である。
そして、理屈によれば、米国の場合、株式投資の合理性が高いとの結論になる。
だから、教授はいつも株を勧める。
ところが、その身についた習慣が、株高容認というバイアスを生んでしまう。

シーゲル教授への批判が強まれば、友人ロバート・シラー教授の言うナラティブ(物語)が変化するかもしれない。
シラー教授は、バブルの末期にはバブルへの批判が高まるとの経験則を語った。
株高への懐疑心は昨今いつになく高まりつつある。

いっそのこと《これからバブルになるから株はまだ買える》と言った方がわかりやすい。
過去のバブルとの相違は、その議論の裏づけとして働いてくれるはずだ。
実際、多くの投資家がその可能性を無視できず、引くに引けない状況にあるのだから。


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