海外経済 投資

ジェレミー・シーゲル教授がついに語った重大すぎる告白
2023年10月18日

ここのところ、各社キャスターがシーゲル教授の発言に暗に陽に疑問を呈する場面が増えている。
CNBCの2人のキャスターの攻撃は、ついにシーゲル教授に本質を語らせた。
1人目は、10年のホライズンの投資ならどうするか、と尋ねた。
巧妙な質問だ。


シーゲル教授が生涯かけて提唱してきたのは株式への長期投資。
それには10年は少し短いような気がする。
教授もはじめ戸惑った様子を見せた。
しかし、あるところで意を決したように、いつものブルに戻っている。

金利は低下するだろうが、今から3-4年後ぐらいだろう。
そしてまた6、7、8%の時もあるだろう。
・・・
10年あれば十分だ。
私は実物資産を選ぶ。

生涯かけて長期投資を提唱してきたシーゲル教授のファンのうち、教授の言動を常にウォッチしている人の大半は短期売買の参考にとウォッチしているようだ。
理由は単純。
長期投資を手掛けているシーゲル・ファンは、日々教授の言動を追う必要がないためだ。
シーゲル教授の2冊の著書には必要な情報が詰まっており、しかも正しい。
それ以上、日々知らなければならないことはない。
長期投資だから、足元のバリュエーションも短期予想も必要ない。
それでもシーゲル教授の日々の言動を追う人は、長期投資家でなくトレーダーなのだ。

《永遠のブル》は長期投資家にとってはブルだが、そのメッセージがトレーダーにあてたものとは限らない。
メッセージの主旨と聴衆の間に大きな前提のズレがあるのだ。

シーゲル教授はいつもトレーダーに対して語るよう求められている
最近では教え子まで短期予想を尋ねだした
この時はさすがに教授も悲しげな口調になっていた。
一番の理解者であるはずの教え子までがこうした質問をする背景には、金利、景気、株価への懸念が高まっている点があろう。

今回のCNBCでは、キャスターの巧妙な質問により、トレーダーにとっての核心部分が吐露されている。
シーゲル教授は、最近の経済動向からソフトランディングの確率が高まったと予想する。
しかし、それでも景気後退にはなりうるという。
過去200年についての研究から、その時がチャンスだという。

「興味深いのは、仮に景気後退になれば、株式は下落し、いつも起こるのは景気後退で下がりすぎること。
信じられないほどの買いのチャンスであることが証明されている。
・・・
次の景気後退を抜ければ上昇がやってくる。
10年間のポートフォリオを考えるなら、景気後退を心配したりしない。」

10年というシーゲル教授にとっては比較的短いホライズンであっても《永遠のブル》はたじろがない。
あと10年景気後退がやってこないかもしれないし、やってきたとしてもリバウンドがあるだろう。
過去の米市場を見る限り、リバウンドは十分に大きかった。

しかし、この日シーゲル教授は、明確にトレーダーに向けたメッセージを語っている。
これこそ、趣旨と聴衆がマッチしたメッセージだろう。

もしもマーケット・タイマーで、景気後退が来ると思うなら、待つだろう。
でも、マーケット・タイミングを本当に試みるか決断しないといけない。
とても困難なゲームだ。
私は長期投資に集中するよ。

シーゲル教授は、景気後退を条件としながらも、明確に待てと言っている。
(シーゲル教授はソフトランディングの確率が高まったと言っているが、ソフトランディングが軽度の景気後退を指すのか、ゼロ成長に向けた景気鈍化を指すのかは明らかでない。)
当たり前のメッセージではあるが(景気・市場の完全な予見はできないということも含め)これこそトレーダーにあてたメッセージなのだ。
読者がトレーダーなら《永遠のブル》の強気予想をそのまま受け取ってはいけないのだろう。
ただし、恐怖の中でつかの間の慰めを得たいと言うなら、その限りではない。


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