《永遠のブル》ジェレミー・シーゲル教授が定例のポッドキャストで約10分間の発言をしたが、強気発言がほぼない異例の警戒モードとなった。
教授は以前より、ピークから10%程度の調整が起こりうると予想してきた。
(インフレ昂進に)いわば猶予が見られ、過去数日市場は上昇したのだろう。
物価関連の統計はかなり予想どおりだった。
シーゲル教授がウォートン・ビジネス・ラジオで、今週発表された米CPI・PPIについてコメントした。
両指標ともに大きなサプライズはなかったが、教授はインフレ高止まり予想を継続している。
ガソリン価格や住宅関連が物価統計を押し上げる要因になるだろうという。
公式の統計には現実からのラグがある。
月末に発表されるPCEデフレーターはとても緩やかなものになろう。・・・
みんなインフレ到来を話しているのに、公式なインフレのデータは予想されている以上のテーパリング加速を促す理由とはならない。
市場では概ね早ければ11月にテーパリングが開始されるとの見方が一般的だ。
シーゲル教授が言及した「予想されている」スケジュール感もそのあたりを指すものだろう。
教授は現時点で、そのスケジュール感からの「加速を予想していない」と話している。
ただし、リスク・シナリオを除外したわけではない。
この数日の市場の反応を、シーゲル教授はこう代弁している。
「『ふう、今月は悪くなかった。
なんらかの引き締め加速の可能性までまた1か月猶予ができた。』
これが市場にとって最大の恐怖だろう。」
この発言を裏返せば、この数日に限って市場は「最大の恐怖」を少し忘れたということになろうか。
いわゆる恐怖指数を見てみると、最近はやや低下傾向だ。
VIX指数(恐怖指数、青、左)とS&P 500指数(赤、右)
シーゲル教授は、市場に「恐怖、ヘッジ」が足りていないとして、「楽観はしていない」と話した。
インフレや引き締め加速の懸念が和らいだことで、VIXは16まで低下した。
VIX上昇を問題の兆しと見る人もいるが、私は恐怖、ヘッジ、ショート・カバーの可能性と見ている。・・・
16は長期ではまだ高いが、近時でみるとVIXは心安からぬレンジにある。
ヘッジの量、空売り残高が小さい。