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ジェレミー・グランサム氏の人生最大の投資をもたらした意外なモノ
2020年12月12日

大手投資会社GMOの共同創業者ジェレミー・グランサム氏が、皮肉なことに批判している制度の恩恵で人生最大の投資の成果を得ようとしている。


これは、私のキャリアの中でどの他のケースとも異なるものだ。
偶然にも人生最大の投資となった。

グランサム氏がFTに、スタンフォード大からスピンアウトしたバッテリー会社QuantumScapeへの投資について語った。
同氏が個人財団から12百万ドルを投資したのは7年前。
環境問題をライフワークにしてきたグランサム氏にとってお似合いの投資といえよう。
しかし、9月にカナダの投資会社が設立したSPAC(特別目的買収会社)と合併することになり、風景が変わってきた。

SPACとは買収資金調達のための上場SPCのこと。
先に買収者となるSPACを上場させ、調達した資金で企業を買収(・合併)する。
結果、SPACと被買収企業が上場企業グループとなる。
言葉は悪いが裏口上場のような感のある手法だ。
買収先を事前に定めないことから《白地小切手》とも言われる。

FTによればグランサム氏の財団の持分の時価は210百万ドルに化けたのだという。
しかし、グランサム氏はこの状況を諸手を挙げて喜んでいるわけではない。

SPACは上場要件の考えを迂回できるので、成功を収めている企業にとっては正味で有用な手段だろう。
しかし、私はこれを非難すべきツールと考えており、定義からしてとてもとても投機的だ。

ある意味人生最大の投資の成功が、自ら「非難すべき」とするツールによって実現したのだから、グランサム氏の心は複雑だ。

FTはこの他、SPAC組成時に投資家にワラントが付与される点についても問題視している。
これが希薄化を通して、その他の投資家に大きすぎる負担を課しているとした。

グランサム氏この投資の顛末について、もう少し多くAdvisor Perspectivesに語っている。
QuantumScapeへの投資金額は同氏個人と財団の純資産の10%に及ぶもので、その時価は20倍以上になったという(時点の違いだろうがFTとやや差がある)。
ざっくりいって、10%が20倍超になって200%超。
つまり、個人・財団の純資産が3倍になったことになる。

なお、同氏持分にはロックアップがかかっており、その期限が来年5月だという。
バブルの研究者としても知られるグランサム氏だけに、来年5月という時期が微妙に響く。
同氏はすでに5月にはエクスポージャーを減らし6月にはバブルを宣言している。

市場が月曜日、あるいは(来年)5月に崩れても、私は驚かない。

せっかく上がったQuantumScape株をいいところで刈り取れるか。
グランサム氏からすれば、あまり期待せずに待っていようといったふうなのだろう。


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