ウォール街

ジェフリー・フランケル:起こるまで直らない

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ナイトの不確実性ではない

興味深いのは、バブル崩壊の時、市場の理屈屋たちが何を考えたかだ。


「住宅市場がクラッシュした時、それはサプライズと受け取られた。
アナリストは、クラッシュが過去のデータから推定される正規分布の外側にあるとし、ブラック・スワン・イベント、ナイトの不確実性、根本的な不確実性(radical uncertainty)、未知の未知(unknown unknowns)とした。
結局、アナリストは名目ベースの住宅価格がかつて下落したことはないと主張したのだ。」

かつて米経済学者フランク・ナイトは、確率現象として予測できる「リスク」と確率現象でない「不確実性」とを区別した。
アナリストは、正規分布を用いた推計で予測できないイベントだったから、リスクではなく不確実性だと分類したのだ。

黒鳥は前からそこにいた

フランケル教授はこのアナリストの判断プロセスに反論する。
いかに米国の過去70年で名目ベースでの住宅価格下落が見られなかったとしても、1990年代の日本や1930年代の米国で先例はあった。
こうした先例を無視した正規分布をもとに推計・判断を繰り返したことが、バブルを助長したのだ。
この意味で、ブラック・スワンとの指摘は状況をよく表しているという。
黒鳥は見えにくくても、間違いなく以前からそこに存在していたのだ。

アナリストは、ある国の最近わずか数年のデータから予想を行う。
さらに、ハイマン・ミンスキーが説明した活況と崩壊のサイクルでは、低ボラティリティーが投資家に偽りの安心感を植えつけ、過度なレバレッジをとらせ、最後にはクラッシュさせてしまう。