ジェフリー・サックス:裸の王様が双子を育てる

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米経済学会の良心、コロンビア大学のジェフリー・サックス教授が、トランプ政権の無知を嘆いている。
他人事とは思えない教授の嘆きを少しだけ聞いてみよう。


サックス教授は「経済学への無知が貿易戦争を引き起こすのか?」と題するコラムをProject Syndicateに寄せている。
ドナルド・トランプ大統領とウィルバー・ロス商務長官が「経済学部の1年生が間違わないよう教えられる間違い」を続けていると書いている。

「彼らは米国の経常赤字(または貿易赤字)が2つの経常黒字国ドイツ・中国の不公正な貿易慣習を指し示していると主張する。
しかし、経常赤字の本当の原因は米国の低く、低下を続ける貯蓄率だ。
彼らの無知が大災害を引き起こすかもしれない。」

米国の災難はトランプ政権で始まったものとも言えない。
共和党はサプライ・サイド経済学、民主党はケインズ経済学を主張し国を振り回してきた。

「民主党も共和党も米国流のポピュリズムの実践者だ:
減税を繰り返し、公的債務を増やし、概して、低い貯蓄率・投資率に起因する米国の低成長を他の誰かのせいにしてきた。
今、中国・ドイツが米指導者の照準に収まる順番になった。」

新自由主義と社会民主主義という異なる主張をする政党が、同じように財政を悪化させる。
税収を減らすか、歳出を増やすか、程度の差こそあれ、政党の本質とはばら撒きにあるようだ。
最近、自由と民主の両方を名前に持つ政党が世界に散見されるようになった。
米国の状況を見る限り、こちらも期待はできないのだろう。
日本がこの点で世界一になったのもうなづける。

サックス教授は、トランプ政権が唱える減税を「破滅をもたらす財政政策」と呼ぶ。


「財政赤字が拡大し、米国の経常赤字も拡大する。
1980年代初め、レーガン政権の減税が連邦政府の財政赤字を急拡大したのと同じことだ。」

レーガン時代(1981年1月-1989年1月)の双子の赤字
財政赤字(左軸、青)、経常赤字(右軸、赤)

米国がすでに完全雇用に近い中、財政出動で需要を増やせば、その分の供給を海外に求めるしかなくなる。
輸入が増え、経常赤字は拡大する。
その後の展開をサックス教授はこう予想する。

「貿易赤字拡大に直面し、トランプと高官たちが奇妙にも中国・ドイツの通商上の裏切り行為への非難を強めることになるのが目に浮かぶ。
米国民はばかにされてはいけない。
皇帝は裸だ。
輸入品の服も、国産の服も着ていない。
そして明らかに有能な経済アドバイザーも連れていない。」

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