ジェフリー・サックス:若い世代の時代がやってくる

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コロンビア大学のジェフリー・サックス教授が、Project Syndicateへの寄稿で、米国での老人民主主義の弊害を説いている。
トランプ大統領の支持層が45歳以上を中心としているのに対し、米ミレニアム世代(現在18-35歳の世代)は社会的リベラルが多く、反トランプ色が強いという。


社会的リベラルとは、なんでもかんでも個人の自由というのではなく、政府に福祉などの面での一定の役割を認める考え。
サックス教授は、ミレニアム世代では党派色が薄いとも指摘しており、政治信条さえ合えば党派にかかわらず二大政党以外にでも投票すると解説している。
こうした世代が、高齢者に支持された史上最高齢の大統領に苦しめられる構図を明らかにしている。

  • 社会的リベラルが多く、人種・宗教・LGBTなどについて寛容な考えを持つ。
    これはトランプ大統領の偏見の多い考えと正反対だ。
  • 高齢世代より厳しい経済環境の中を生きてきた。
    技術革新を主因として職を奪われている現実を考えれば、保護主義で解決できるような問題ではない。
    トランプ政権がもくろむ減税は裕福な世代を利するだけでなく、政府債務の負担を若年層に負わせることになる。
  • 気候変動の問題に敏感で、化石燃料を問題視している。
    トランプ政権が考えているのは、石油や石炭をもっと燃やすことだ。

ミレニアム世代と高齢層の違いは、生きてきた時代や受けてきた教育など多くの要因によるものだろう。
老人民主主義の生む弊害と呼んで誤りではないが、一言で言い切れるほど単純なものでもない。

「主たる問題は単純な世代ではなく、マインドや政治信条の方向性なのだ。
トランプは大統領の歴史で最も短いキャリア(と注目を集めた期間)だ。
新技術・労働市場の変化・学生ローンの破綻など若年層が直面する本当の逆境に向き合ったことさえない。
メキシコや中国との貿易戦争や、悲劇的な誤りであるイスラム系移民の入国制限が、若年層の真のニーズを満たすことはない。」

サックス教授は、米国の政治が二大政党制という構図では計れなくなっているという。
老人民主主義の壁を若年層が打ち破る時がくると信じている。
民主党サンダーズ候補がミレニアム世代にも支持される政策を掲げ、勝利に近いところまで躍進したのがその証拠だという。

「彼らの時代がやってくる。
おそらく2020年に彼らが支持する大統領とともに。」

さて、日本はどうだろう。
日本の老人民主主義は筋金入りだ。
老人たちは膨大な社会保障負担を子や孫の世代につけ回そうとしている。
政府は以前からプロビジネスで、消費者に冷たい。
既得権益を握った高齢層のために若年層は割を食っている。

米国との最大の違いは、希望の光が見えないこと。
野党でも自民党派閥でも構わないが、政権を任せたい政治勢力が見当たらないことだ。
左派はその器でないことが証明され、保守系の野党はやはり与党に合流したいようだ。
何も政権交代が必要とはいわないが、どんな法案でもごり押しできる現在の勢力図は不安を感じさせる。
その状態を脱するには「彼らの時代」を先導する「彼らが支持する大統領」候補が必要なのだ。