ローレンス・サマーズ

 

サマーズ:秩序と混沌の瀬戸際

ローレンス・サマーズ元財務長官(現ハーバード大学教授)がウィリアム・イェイツの詩を引きつつ、米政治の行く末を嘆いている。
このままなら「秩序は失われ世界は混沌に包まれる」と警告している。


今後数年、不況に陥る確率は毎年20-25%と見ている。
したがって、今後3年間で米経済が不況に陥る確率は半々より大きい。

サマーズ氏がProject Syndicateへの寄稿で遠からぬ不況の到来を予想している。
不況の予想は半年前でも難しいとしながら語った確率である。
米景気拡大はすでに9年目に入っており、いつ循環的な低下局面に入ってもおかしくない。
ところが、それに対処するための金融・財政政策の余地は大きくない。

  • 不況期には通常5%程度の利下げが必要となるが、現在のFF金利誘導目標は1.25-1.50%であり、5%の利下げ余地はない。
  • 「財政拡大の意思または余地が存在しないのも明らか。」

サマーズ氏は、次の不況が厳しいものとなり、その悪影響が世界に波及すると予想する。
しかし、本当の恐怖は経済ではなく、政治や政策へのインパクトにあるのだという。


「保護主義・ポピュリズム・責任転嫁が再び起こるのは避けられない。
その場合、金融危機に発展し、世界は混沌に包まれるだろう。」

サマーズ氏は、誤った税制・規制緩和・予算方針については困難であってもやり直しが効くと言う。
しかし、「米国はもはや味方ではない」と同盟国が考えれば、それを元に戻すのは至難の業だと指摘する。

「他国がひとたび新たな道を歩み始めれば、もはや道を引き返したがらないだろう。」

日本も「他国」の一角かもしれない。
北朝鮮の度重なる威嚇、中国の海洋進出の脅威を考えれば、日本がすぐさま米国との同盟関係にひびを入れるとは考えにくい。
しかし、その日本にしても、国連総会における米国のエルサレム首都認定撤回決議案に賛成している。
支援を縦に諸外国を恫喝した米国に反対を通したわけだ。
米国はますます世界一のならず者に近づきつつある。
それでも、袂を分かつことができないところに日本の苦しさがある。
サマーズ氏は、こうした各国の思惑まで見通している。

「もはや米国を信頼できない国々は、独自の防衛体制を築くプレッシャーを感じている。
米国の敵が米国の撤退した後に残った間隙を埋めるのは避けようがない。」


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