ローレンス・サマーズ

 

サマーズ:トランプは経済をよくしていない

ローレンス・サマーズ元財務長官(現ハーバード大学教授)の政権批判が止まらない。
トランプ政権と共和党による経済政策・税制改革案にダメを出し続けている。


2017年第4四半期の成長率は2.3%程度になりそうだ。
これは大統領選挙前のコンセンサスをわずかに上回るだけ。
2018年予想のコンセンサスも選挙前から今でわずかに上回っただけだ。

サマーズ氏は各紙への寄稿で、政権交代が経済を改善したというのは幻影にすぎないと主張している。
選挙前の予想から比べて米経済に大きな改善は見られず、日欧が大きく改善していることを考えれば、むしろ出遅れていると酷評している。

最近アラン・グリーンスパン元FRB議長も指摘していたが、第4四半期の米成長率が前2四半期より大きく落ち込むと見られるのは心配だ。
米市場はその楽観的性質によってあらゆる逆風を跳ね返してきたが、ここも耐えきることができるだろうか。

天才と崇められる教授は、実に精緻にねちねちとトランプ政権の虚飾を暴いている。
そのポイントを列挙しよう。


  • 経済は「高血糖」を享受しているが、これはトランプ政権の政策によるものではない。
    「今年の経済の強さは過渡的なもので、米経済は軟化している。」
  • 米市場は上昇したが、日・独の市場と比べると後塵を拝している。
    ファンダメンタルズが改善したという主張はドル安進行と矛盾する。
  • 2017年の米経済成長は持続的でない。
    供給側では完全雇用に近く、需要側では資産効果頼みの状況にある。
  • 低い資本コスト・あり余る企業の手元現金にもかかわらず、生産性が向上しない。
    「乏しい生産性の元凶は、不十分な民間投資へのインセンティブではなく、不十分な公共投資である可能性の方が高い。」
  • 所得の分配が偏り、格差が拡大している。
    「これは、税前利益の分散増大と税・移転システムの不十分な累進性の両方を反映したものだ。」
  • 予算についての超党派のSimpson-Bowles委員会はGDPに占める税収の割合を21%必要と結論した。
    減税案の通りになると17%にまで低下してしまう。

米国では税制改革を望む声が大統領選前から多かった。
そして、税制改革というよりは減税というべき法案が現在出揃っている。
減税だから喜ぶ人(企業、金持ち、株屋)は多い。
しかし、これだけ評判の悪い減税案も珍しいのではないか。

サマーズ氏は、共和党案の効果が「高血糖」を少々引きのばすだけで、必要な構造改革にはつながらないと結論づけている。
また、多くの貧しい人のセーフティ・ネットを切り捨てようとしている。

「そして、これが財政赤字拡大と資本コスト上昇を意味するがゆえに、刺激策が講じられるにしたがい民間投資をクラウディング・アウトしてしまうだろう。」


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