サブプライム証券の化身:カーメン・ラインハート

著書『国家は破綻する』で有名なハーバード大学カーメン・M・ラインハート教授は、サブプライム/リーマン危機が形を変えて再現するのを心配している。
それは、企業債務の証券化商品だ。


サブプライム・バブル崩壊から10年たち、企業ローンのローン担保証券(CLO)の市場に新たな火種が現れた。
金融資産の供給を増やそうとする世界経済は、市場参加者と政策決定者を等しく世界のもぐら叩きゲームに陥れてしまった。

ラインハート教授がProject Syndicateで書いている。
教授はこの中で2つの新興市場(EM)を比べている。
一つは新興国市場(EM)であり、もう一つは米国内での「EM」であるハイイールド債・ハイイールド・ローンの市場だ。
教授は後者をUSEMと呼んでいる。

歴史的にはEMとUSEMは正の相関を示していたが、現在は両者がダイバージェンスを始めたのだという。
つまり、EMは今年崩れたが、USEMは盛況を続けたのだ。
教授はこの原因を自問する。

金融市場は、EMのフィクスト・インカムのリスクを過大に見ているのか(EM利回りは『高すぎる』のか)?
あるいは、低格付の米社フィクスト・インカムのリスクを過少に見ているのか(USEM利回りは低すぎるのか)?


ラインハート教授は、いくつかの要因を挙げたうえで、後者の結論に傾いているという。
米社債市場のリスクについては、多くの人がリスクを指摘している。
コベナント・ライトのレバレッジド・ローンが拡大しているのは既報のとおりだが、話はジャンク級の債券・ローンにとどまらない。
スコット・マイナード氏は、BBB格の社債には多くのジャンク債候補が含まれていると指摘した。
ジェフリー・ガンドラック氏も、景気後退入りすれば、米社債市場は大きく悪化すると警告している。
USEMから投資適格の米社債市場への《伝染》が起こるとの懸念だ。

伝染こそが、金融市場全体に心配を波及させる脅威だ。
この伝染は、国境の中にとどまるものではない。

2007年以前のいくつかの先進国市場にまたがる居住用住宅の同時ブームと似て、CLOは欧州で人気を得ている。
欧州CLOに対する投資家の食欲は高く、予想できることだが、発行急増(2018年に約40%増)につながった。
自暴自棄になりより高い利回りを求める邦銀では投資するところがどんどん増えている。
もしも状況が変化すれば悲惨なことになる、金融の伝染ネットワークはすでにそこにある。


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