サイクルを読む:相場は反転したのか

米市場は、また米市場に引きずられる世界の市場はどちらを向いているのか。
何に投資すべきかは、どういう視野で市場を眺めるかによって異なってくるようだ。


「ネッド・デービス・リサーチ(NDR)は債券や米国株、国外株、商品などマーケットを大きく8つの資産クラスに分類。
このうち、今年(2018年)5%を超えるリターンを残しそうな資産クラスは一つもない。
この現象は1972年以降なかったものだと、NDRのストラテジスト、エド・クリソルド氏は指摘した。」

Bloombergが、逃げ場のなかった2018年の相場を振り返った。
幅広い市場があまねくスランプに陥った点で「歴史に残りそうな低迷」と書いている。
同ストラテジストは犯人を特定している。

「超緩和的な金融政策の解除に資産価格がどう反応するか、不安が市場を覆っている。」

流行りの中央銀行犯人説だ。
FRBは金融政策正常化を進め、ECBも端緒についた。
日銀もステルステーパンリングを進めてきている。
これが金利・流動性の両面で市場に影響を及ぼすのは当然のことだ。

しかし、これで議論を止めてしまったら、大きなリスクを看過してしまう。
これが通常の景気サイクルの話であれば、私たちが参考にすべきは1987年のブラック・マンデーや1998年のアジア危機かもしれない。
これらのケースでは金利は趨勢的に低下局面にあり、結果として市場は調整の後に再び力強く上昇した。
今もこの可能性は否定できないが、現在の市場心理と比べるとやや楽観的すぎるようにも感じられる。


この議論で忘れられている議論は、趨勢的な金利・インフレの動向だ。
今は長期債務サイクルが反転した可能性が強く意識されている。
34年に及んだ債券の強気相場が2016年に反転したかもしれないのだ。
換言すれば、物価の趨勢がディスインフレからインフレへと変化した可能性がある。

インフレの時代が来るとは考えにくいが・・・

インフレの時代が来たという話は現在の先進国を見る限りとても信じがたい話でしかない。
そもそも米経済が(ある程度)正常化したのかどうかについてさえ、いまだに議論がある。
リーマン危機後「New Normal」という言葉で低迷の時代の到来を予想したモハメド・エラリアン氏は昨年New Normalの終焉を宣言している。
同様に2013年、本棚の奥で埃をかぶっていたアルビン・ハンセンの「趨勢的停滞」論に再び脚光を浴びせたのはローレンス・サマーズ元財務長官だった。
サマーズ氏は米経済がいまだ趨勢的停滞から脱していないと主張し、金融緩和継続を主張している。

欧米の中央銀行が金融政策正常化に動いていることを考えると、米経済がいまだに趨勢的停滞にあるとの見方がコンセンサスであるとは考えにくい。
絶好調ではなくとも、ある程度は回復したと見る人も多いのだろう。
では、インフレはどうか。
アラン・グリーンスパン元FRB議長など、インフレ昂進を懸念するエコノミスト・投資家は決して皆無ではない。
これはリスク・シナリオとして勘案・検証しておくべきだろう。

(次ページ: ディスインフレか、インフレか、それが問題だ)


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