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サイクルはいつか転換する:デービッド・アインホーン

グリーンライト・キャピタルのデービッド・アインホーン氏は、2000年のドットコム・バブルを回想し、今それより度を超えたことが起こっていると注意を促している。


「AOLに関しておかしく興味深いのは、常に経済性があるとされ、プラスだったことだ。
会計をチェックしてみても、プラスの内容だった。
それが、ベア派が間違った点だ。
最終的にはAOLは資産計上してきたマーケティング費用を一括消却し、議論が終わった。」

アインホーン氏がReal Visionのインタビューで、2000年のドットコム・バブル前後に全盛を迎えたインターネット・サービス・プロバイダー(ISP)AOLの顛末を回顧した。
AOLはその全盛期ネットスケープ(ブラウザ)を買収し、タイム・ワーナーと合併(AOL側優勢の合併)し、世界最大のISPと称されたが、後に衰退した。

AOLについては株式市場でブル派・ベア派の大きな論争があった。
その論争を終わらせたのが、資産計上されてきた費用の消却による莫大な損失の発生だった。
AOLはそれまで、毎期大きな金額発生する(顧客獲得のための)マーケティング費用を費用計上せず、先行投資であるとして資産として計上していたのだ。
もちろん、その先行投資が実際に後に収益を生むのなら、資産として認めることもできよう。
しかし、たいした収益を生まないようなら、消却を求められ、過去計上すべきだった分を費用計上することになる。

アインホーン氏は、AOLが議論の対象となっていた当時、財務分析を行い、取り立てて割高でも割安でもないという結論を出している。
結果、ポジションを持たず、火傷せずに済んだという。

「同様に支配的地位を得るようになると今日考えられている企業の中にも、20年後AOLのようになるものがあるかもしれない。」

アインホーン氏は、サイクルがサイクルであるなら、いつか転換すると話している。
そして、現在のサイクルがドットコム・バブルを凌駕するところまで伸びきっていると暗示する。

サイクルはサイクルだから、いつかサイクルは変わる。
現在、私たちは1999-2000年にしていた議論をはるかに超えたところにいる。

強烈に伸びきっているなら、もしかしたら第2のAOLも多く発生しているのかもしれないと感じさせる一言だ。
仮に落とし穴が多く存在するなら、どこにその原因があるのだろう。
アインホーン氏は、投資家の側の話として会計ルールと財務分析について触れている。
会計ルールについては、投資家が「会計分析をあきらめてしまった」のだという。

誰もあまり興味を持っていないため、企業はやりたい放題だ。
倫理を持った企業は正しい会計を心掛け、そうでないところはそうせず、際限がない。

投資家が発行体の採用する会計ルールをチェックし、不適切なものがあれば罰を与えるなら、より合理的な株価形成に近づくはずだ。
しかし、投資家がチェックするのをやめてしまった。
結果、倫理のある企業が割を食い、そうでない企業の株が買われるようなことになりかねない。
これでは、アインホーン氏のようなバリュー・ベースでロング/ショートのポジションを組む投資家は報われない。
(インタビュー中、同氏はまだ苦戦中であるのを認めている。)

アインホーン氏はまた、投資家が財務分析まで軽視していると指摘する。

今議論されているのは、必ずしも事業の実行可能性でさえない。
ただ、みんな株を買って一生持ち続けようとしており、多くの人が財務分析もたいしてやらない。
多くの企業について、財務分析は議論の対象になっていない。

これにはいくつかの要素が関係しているのだろう。
1つはミーム株で見られたように、財務情報に全く無関心な投資家の存在だ。
次に、モメンタムなどテクニカルに依存したトレードをする人たち。
最後に、個別株の財務と遠いところで売買しているインデックスの投資家だ。
こうした市場参加者が増えれば、建前上かなり効率的とされている市場が実はそれとほど遠いという状況になりかねないだろう。

アインホーン氏は、こうした現象がショート側の銘柄だけでないとボヤいている。

これは、私たちが保有している銘柄にも言えることだ。
ある投資先がとても驚くような開示、大きくプラスとなる開示をし、嫌われている銘柄でなくても、みんな無関心で聞いていないんだ。

これではバリュー投資は儲からない。


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