海外経済 投資

サイクルの異なる局面に入った:レイ・ダリオ
2022年1月26日

ブリッジウォーター・アソシエイツのレイ・ダリオ氏が、現在の弱い相場について売りか買いかとの直截的な質問に答えている。


これまで起こってきたのは、莫大な債務が生み出され、多くのお金が配られた。・・・
モノを買うお金をみんなが得て、またお金を借りるのが容易だった。
結果、モノやサービスを生み出すより購買力がはるかに増えたなら、はるかに高いインフレになる。

ダリオ氏がBloombergで、近日の下げは売りか買いかと尋ねられ、いつもの大きな絵を語り始めた。

ダリオ氏は、足元のインフレに対しFRBが出遅れていると指摘する。
出遅れているからこそ、市場がまだ対処しうる金利上昇で済んでいるという。

「タダのお金はまだ安いお金であり続けるだろうが、少し値上がりし、金利、債券利回りが1%ほど上がった。・・・
金利が1%上昇するということは、すべての資産が調整しなければならないということを意味する。」

金利が低位に保たれるという話は、ダリオ氏が予想してきた超長期サイクルの最終局面の話だ。
もしもインフレによって超長期の債務サイクルがリセットされるなら、新たな超長期サイクルの始まりを意味することになる。
しかし、ダリオ氏の話はそれとは少しずれていく。

これが意味するのは、以前の日々、お金が容易に手に入りインフレもなく引き締めもない安穏な日々が終わったということ。
私たちはサイクルの異なる局面に入った。

「インフレもなく引き締めもない安穏な日々が終わった」との認識は、今後もインフレが継続することを示唆している。
今後のFRB金融引き締めがすぐさまインフレ退治に結び付かないとの含意だろう。
ダリオ氏が言及した「サイクルの異なる局面」とは、通常7-8年程度のサイクルのことだろう。
つまり、ここでの歪みの修正はインフレ的ではなくデフレ的が想定される。

今の市場は売りか買いかとの質問に対し、ダリオ氏が返した答は「サイクルの異なる局面に入った」だった。
肩透かしの感は否めないが、これまで上げてきて「異なる局面に入」るなら、やはり《デフレ的な修正》、あるいは資産デフレを連想すべきだろうか。
あるいはまだボラティリティ上昇程度で留まるのだろうか。

海千山千の投資家でMCを務めるデービッド・ルーベンスタイン氏は、何事もなかったかのように次のテーマに移っている。
こうした質問に対して明確な回答が得られないことを最初から覚悟していたかのようだ。
次の質問は、ロシアがウクライナに侵攻した場合、市場にどのような影響を及ぼすか、だった。
ダリオ氏は、この問題について特別の知見を有していないとしつつ、大きな戦争にはならないだろうと予想した。

「投資家は、戦時の市場経済がどのようなものか考えるようになるだろう。
市場は戦時にどう振舞うだろうか。
市場は戦争に慣れていない。」

新著で示したとおり、温故知新がダリオ氏にとってのスタートラインなのだ。


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