ゴールドマン・サックス

 

ゴールドマン:良いことはすべて去り・・・

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米ゴールドマン・サックスが米市場の先行きについて強い懸念を示している。
株式・債券等幅広い米資産市場が1900年以来の高値圏にあり、この巻き戻しが投資家を苦しめるのだという。


株式、債券、クレジットまで同様に同時に高値になるというのはそうあることではない。
狂騒の20年代と黄金の50年代だけのことだ。
良いことはすべて去り、終わりが来る。
最後に弱気相場がやって来る。

ゴールドマンのChristian Mueller-Glissmanらのレポートが金融メディア各社の注目を集めている。
FRBが金融政策正常化に着手する中、ゴールドマンは長期債の期間プレミアム拡大を予想している。
出来上がりの長期金利が上昇するため、資産価格に下押し圧力が加わるという。
ゴールドマンは今月発表した「2018年の推奨トレードで米10年債ショートを推奨したほか、「2018年の10大テーマ」では米市場の弱気相場入りの可能性に言及していた。

ゴールドマンは下げのスピードに応じて2つのシナリオを想定している。

  • 緩やかな苦痛シナリオ:
    低利回りと高バリュエーションが続くが、バリュエーション上昇の棚ぼたが減り、キャリーも減ってしまう。
    バリュエーションは次第に中央回帰してしまう。
  • 急激な苦痛シナリオ:
    大きな成長減速、インフレや金利上昇があれば、S&P 500指数と米10年債を60:40の比で組み込んだバランスのとれたポートフォリオでも下落してしまう。
    このシナリオではバリュエーションの中央回帰はより顕著になる。

リスク分散をしたはずの60/40ポートフォリオが効かないのには事情がある。


「高騰したバリュエーションは、ショックを吸収するバッファーが少ないという単純な理由で下落リスクを増大させてしまう。
米株式、債券、クレジットと広い範囲で平均バリュエーションの百分位は90%にあり、これは市場最高だ。」

どの資産クラスもバリュエーションが歴史的に極めて高い水準にある。
ある資産クラスの下落を他の資産クラスが埋めようにも、どの資産クラスもすでに天井近くにあるのだ。
こうした高バリュエーションの一因は、進まない物価上昇を理由に長く続けてしまった金融緩和にある。
だから、その梯子を外すのもインフレだ。

「60/40ポートフォリオの最悪のシナリオはインフレが上昇し高騰することだ。
そうなれば、不況入りしなくとも債券・株式が揃って下げてしまう。」

FRB・ECBは金融政策正常化に取り組んでいるが、まだまだ投資家は金融政策から目が離せないようだ。
金融緩和が行き過ぎればインフレ昂進をもたらしかねない。
一方、物価上昇が顕著となったり資産価格が高騰すれば、中央銀行は引き締めを余儀なくされるだろう。
ゴルディロックスの論理が通じなくなる時代がやってくるかもしれない。
ゴールドマンは「低成長とインフレ上昇の綱渡り」になる可能性が高いと書いている。

こうした厳しい環境分析の下でも、ゴールドマンはリスク・テイクを続けることを勧めている。
リスク調整後リターンが比較的大きな株式へのエクスポージャーを増やし、債券デュレーションを短縮するよう説いている。
インフレや金利の上昇局面では株式の方が相対的に有利と考えているのだ。

「QE停止後、債券は株式のヘッジとしての効果が減少し、バランスのとれたポートフォリオの足を大きくひっぱりかねない。」


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