海外経済

ゴルディロックスが続いている:ラグラム・ラジャン
2020年3月10日

IMFチーフエコノミスト、インド中銀総裁を歴任したラグラム・ラジャン教授が、新型コロナウィルス後について興味深い予想をしている。


もう1つ低インフレと逼迫した労働市場という面で似た時代は1960年代半ばだ。
当時、インフレが急騰する前に似たような状況だった。
インフレはどこかで再発するだろうが、まだ余裕があるだろう。

ラジャン教授がゴールドマン・サックスのインタビューで、壊れたフィリップス曲線について言及した。
インフレはいつかやってくるが、まだ少し時間があるとの見方。
ラジャン教授が言及した先例は1960年代半ば。
その後、インフレが急騰したのは1970年代前半の石油ショックだろう。
確かに時間は残っているのかもしれないが、10年はないのかもしれない。

ラジャン教授は、フィリップス曲線が機能していないように見える原因について、日本を例にとって仮説を述べている。

「企業経営者と話をすると、賃上げをしても人が採用できないと言う。
1つの可能性は、日本で見られることだが、高齢化によって高齢の労働者が引退し、若い労働者が入ってくる。
よって、新たな労働者に対し高い賃金を払っても、熟練した専門の労働者が去るため、平均賃金がそれほど増えないのではないか。」

この解釈が正しいなら、ベビー・ブーマーや団塊の世代の大量引退も効いているのだろう。
この引退の波が落ち着いてくれば、何か変化が起こるのかもしれない。

ラジャン教授は、中央銀行の金融政策についてもコメントした。
ここでも日本を例に挙げ、日銀の非伝統的政策が「とても控えめな効果」しか上げなかったと指摘。
期待に働きかける金融政策の限界を示唆している。

多くの金融政策は、人々が望む方向についての期待を変化させることで機能する。
現実の世界では、最も困難なのは人々の期待を変化させることだ。
私たちはそのやり方を理解していないと思う。

ラジャン教授は、次の景気後退期、世界の中央銀行の追加緩和余地は大きくないと指摘している。
ただし、これは次の景気後退期がやってきてからの話。
足元ではゴルディロックスが継続しているという。
その上で、投資家にとって興味深い視点を呈示した。

興味深いのは、世界経済が平凡なペース-熱くもなく冷たくもなく、脱出に必要なモメンタムはないが、景気後退入りするほど悪くもない-を続けている点だ。
もしも、大きな『もしも』だが、コロナウィルスが封じ込められれば、これがしばらく続くのを否定する理由はない。
もちろん金融引き締めはこのプロセスを脱線させる要因の1つだが、FRBを含めて中央銀行は今のところ引き締めは考えていないと示唆している。


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