投資

ハワード・マークス ゴミを入れてゴミを出す:ハワード・マークス
2020年5月2日

オークツリー・キャピタルのハワード・マークス氏が、計量モデルによる投資判断について語っている。


モデル(算式やスプレッドシート)は正確な結果を得るという利点がある。
数字を入力すれば、数字が返ってくる。・・・
(入力するデータに関して)判断が必要ないなら、優越にはつながらない。

母校ウォートン校でのQ&Aで、有効な投資モデルの構築について尋ねられて、マークス氏がそっけなく答えている。
PC全盛の現在、複数の学生が投資判断のモデル化について質問している。

マークス氏は、コンピューター化の利点についてはもちろん認めている。
それが投資ビジネスを難しくしたとも指摘する。
情報の収集・処理が高速化し、市場の効率性を高める面があるからだ。

マークス氏は自分が金融界に入った50年前を振り返っている。
当時はもちろんPCはなかった。
それどころか、誰も電卓さえ持たなかったのだという。
つまり、人間の判断が勝負を決める時代だった。
マークス氏は、それが今も変わっていないと話す。

みんながモデルを使いたがるのは、それが正確、信頼、厳格という印象を与えるためだ。
でも概してそれは幻想であって・・・ゴミを入れてゴミを出すものだと私は言ってきた。
・・・
いかに市場がいくらか非効率で優れた結果を達成できるとしても、私に言わせれば、それは優れた判断によるものだ。

マークス氏の議論のしかたは用意周到だ。
自論に対する反論も用意している。
自らルネサンス・テクノロジーの例を挙げ、このファンドが計量モデルを用いて長期にわたり例外的な高リターンを上げ続けていると紹介する。

「この会社は投資家にどんどんお金を返していくんだ。
彼らが見出した(市場の)非効率が莫大な資金を投下するほど大きくないためだ。・・・
アルゴリズムを用いた組織で、プロセスを確立し、機能し、投資家を儲けさせている。
これは私が先ほどいった『そんなプロセスはない』ということと相反するんじゃないか。」

マークス氏は、ルネサンスが優れた計量モデル・ファンドであると認めている。
それでも、計量モデルはゴミと主張する。
その理由を説明するのに、母親の口癖を紹介している。

私の母がよくいったのは『規則性を証明するのは例外』ということ。・・・
ルネサンスは、このルールが原則正しいことを示す例外だ。・・・
言いたいのは、(例外は)ルネサンスだけということだ。

もちろん世界一を目指すこともおかしなことではない。
しかし、投資の世界で世界一を目指すことは、ほとんどの投資家にとって現実的でないのも事実だ。
確率を重んじ極めて現実的な考え方をするマークス氏にとって、それを奨めるという選択肢はないのだろう。


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