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米ドル コロナ後の主要なテーマは質素倹約:デービッド・ローゼンバーグ
2020年12月25日

エコノミストのデービッド・ローゼンバーグ氏が、コロナ後の米社会において、貯蓄が神聖なものと扱われるようになると予想している。


私は100%の確信をもって以前とは大きく異なる世界になると言いたい。
経済の構造変化のいくつかは長く続き、グローバルなサプライチェーンは収縮するだろう。

ローゼンバーグ氏がFinancial Postへの寄稿で、コロナ後の世界がコロナ前の世界とは大きく異なるものになると予想している。
市場が強気を続けているのはいずれ世の中が「中央回帰」するとの見通しだからだと指摘。
その市場の目論見は外れるだろうと、逆張りの考えを主張している。
政府の政策、企業の戦略、家計の生活いずれにおいても「趨勢的な変化」が進行するという。

ローゼンバーグ氏は、趨勢的な変化の一例を挙げている。

深刻なことに、米家計の過半は失業して3か月をしのぐのに十分な現金さえ持っていない。
この混乱に陥った直前、失業率が50年来の低い水準、3.5%だったことを考えると、かなり重大なことだ。
前回のサイクルで、何らかの理由で『流動性』という言葉が汚い9文字言葉になってしまった企業部門は言うまでもない。

FRBの市場救済の恩恵を思うがままに受けられる大企業を別とすれば、米国の家計・企業はコロナ前から決して楽な状況にはなかったのだろう。
わすか3か月分の貯えもない家計。
短期間の停止で存続が危ぶまれる企業。
この状況が経済主体の行動に趨勢的な変化を及ぼすというのだ。

このことから、将来、貯蓄が神聖なものと扱われるようになるのではないかと考えている。
2021年に1つまたは2つの四半期でペントアップ・デマンドが発生した後は、質素倹約が主たるテーマとして出現してくるだろう。
持続的で活発な経済拡大を主張するのでない限り、これも世界の終わりではない。

米国では概して、企業が使わない現預金を抱え込むことを良くないことと考えてきた。
使わないお金は投資家に返すべきとの考えだ。
この点、日本企業の中には現預金を多く抱え込んだ企業が多く、度々批判の的となってきた。
コロナ・ショックが起こった時、現預金を厚く持つことは正しいのではないかとの意見があったのは事実だ。

家計に目を向ければ、日本の家計の現預金好きは健在だ。
日本にも米国のように貯えのない家計が多く存在するが、程度においては日本の方がましなのではないか。
アリのように安い仕事に精を出し、倹約し、現預金を積み上げる。
まさに低成長やディスインフレの原動力となった行動様式だ。
しかし、コロナ・ショックに限れば、こうした貯えの存在が家計を救うことになった。

カナダ人エコノミストが米経済について日本化のようなニュアンスの予想を話している。
しかも、同氏の書きようは、低成長を絶対悪とはしていないようにも読める。
ただし、ローゼンバーグ氏の考えは市場コンセンサスとはかなり逆を向いている。

アメリカ人はこれほどの低金利の中で、消費や投資の誘惑を排することができるだろうか。
これはそのまま米国株をはじめとする米資産市場が投資家にとっての桃源郷であり続けられるかを決する選択肢だろう。


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