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ハワード・マークス コロナ・ショック後の重要テーマ:ハワード・マークス
2020年3月22日

オークツリー・キャピタルのハワード・マークス氏が、下げ相場でのバリュー投資を語り、さらに危機後の重要テーマについて言及している。


唯一の合理的アプローチは、価格が下がったら、もっと選好することだ。

マークス氏がTD Ameritradeで、下げ相場での投資戦略について語った。
同氏はバリュー投資家であり、理論家だ。
投資対象の価値より市場価格が十分に下回った時、それは買いの材料になる。
だから、投資すべきと判断した対象について、その価値に変化がなく、単純に市場価格だけが下げるなら、それはより魅力を増したということになる。

市場が目まぐるしく変化する中で、そうした判断を正しく遅滞なく下すには相応の準備も必要だ。

宿題をやらなければいけない。
投資している企業、投資の安全性、6か月-1年になるかわからないが困難な環境を生き抜く能力を理解しなければいけない。

つまり、既存の投資先・潜在的な投資先について、常に価値がどの程度なのか、下げ相場でもつぶれてしまわないか、研究を怠るべきでないのだ。

マークス氏は、株式投資の場合、倒産しそうな会社に安全に投資するのが難しいと認めている。
しかし、同氏の主戦場であるディストレスト債務の世界ではそうではない。
担保や保証の内容を精査することで、倒産時にもある程度の回収を図ることができる。
マークス氏の長年の相棒ブルース・カーシュ氏は弁護士だ。

マークス氏の投資基準は価値と価格の関係だから、市場の底が確認できるまで待ったりしない。
いつも「落ちるナイフをつかみたい」と話している。

唯一の事実は、買うことが、もう下がらないと考えることを意味しないということ。
もう下がらないと予見するのは、特にカオスな時には不可能だ。

マークス氏は、落ちるナイフをつかみにいかないのは、何もしないことを合理化するだけと話してきた。

マークス氏は、ウィルスの医療面での問題が解決したとしても、経済回復までには時間がかかると予想する。
しかし、市場や経済の底まで待つつもりはないし、かといって無差別にあらゆる銘柄に投資するわけもない。
マクロに投資するのではなく、ミクロに投資している。
同氏は日頃から、マクロを重要と認識しつつも、マクロは不可知として、そこで勝とうとは考えない。

マークス氏は、航空業界などウィルスによる影響を大きく受けている産業に単純に投資しようというアイデアをたしなめる。

視聴者が自分を賢いと思い、救済される産業を探し、株を買い、大儲けできると思い始めるなら、政府が救済する産業では株主が投資価値を失う可能性が高い。・・・
だから、視聴者が救済を株主の利益と同義と考えるのは危険だ。

投資とは、ミクロな対象の中身と投資家の能力次第だ。
中身を見ずに株式を買って、その企業が政府の支援を受けることになれば、既存株主は一切の権利を失う可能性が高い。
一方、オークツリーのような会社は、仮に対象が倒産しても債務に付されている担保・保証からの回収もありうる。
もちろん、企業が立ち直り、債務の信用度が回復すれば、それも大きな利益になる。

もう少し中期的な視点で、キャスターは、多くの投資家が知りたがっている質問をマークス氏にぶつけている。
危機前・危機後に講じられた強力な金融・財政政策が、危機後に何をもたらすかと尋ねている。

あなたの問への答は明らかに、過剰な刺激策・過熱・インフレだ。
過去10-15年の間、大きなインフレはなく、世界の多くの国がインフレを望み、ほとんどが2%物価目標を目指したが実現できなかった。
・・・ほとんどの人が、過剰な刺激策が経済を過熱させインフレを生み出すことを受け入れている。

さらにインフレについてマークス氏は、コロナ・ショックが引き起こす供給ショックもまた一因となると指摘した。
1970年代初めの石油ショックで米インフレが16%に及んだことを先例に挙げている。

「多くが発現確率は低いものの、低確率で起こるものの中に深刻な結果を生むものがある。
しかし、それらについて予見することはできない。
それが投資業にとって難題になろう。」

1970年代の弱気相場は、マークス氏にとって重要な転機になった。
1968年シティバンクに入社し、株式部門に配属された同氏だが、石油ショック後の弱気相場に翻弄される。
ニフティ・フィフティともてはやされた優良銘柄もインフレに勝てず、1972年末からの9年間の平均利回りはインフレ調整後で-46%と悲惨なものだったという。
《株式の死》にともないマークス氏は債券部門に転属となり、1978年から草分けの1人としてハイイールド債に携わることになった。

参考:
【書評】投資で一番大切な20の教え
【書評】市場サイクルを極める


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