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コロナウィルスは現実のパンデミック:ロバート・シラー
2020年3月14日

ロバート・シラー教授が、新型コロナウィルスが社会・経済・市場に及ぼす影響の特異性について語っている。


「今回のように問題の源が現実のものである場合、効果的に経済を支えるのは難しい。
1933年ルーズベルト大統領が就任した時、大恐慌を指して『イナゴの大群は存在しない』と語った。
・・・当時、昆虫やウィルスのパンデミックは存在しなかった。」

シラー教授がQuartzのインタビューで、コロナ・ショックの特異性について話した。
米国株が急速に値を下げる中で、自然と現在の状況を大恐慌と比較する人が増えている。
しかし、シラー教授は、コロナ・ショックと大恐慌では大きく状況が異なるという。
経済・市場の混乱を別とすれば、大恐慌には他に現実の災いの源はなかった。
人々に安心感を与えることが大きく解決に役立った。
だからこそ、ルーズベルト大統領は国民に語り掛け、安心感を取り戻そうとした。
しかし、コロナ・ショックには新型コロナウィルスの伝染・疾病という現実の災いの源がある。
だから、人々に安心感を取り戻させるだけでは問題は解決しない。

シラー教授は、政府が行おうとしている財政政策に注文をつけた。

「ウィルスと戦わなければいけない。
何か財政政策を打つべきならば、まずエピデミックを防ぐためにやれることに集中すべきだ。」

シラー教授は、コロナ・ショックを1918年のスペイン風邪と比較するのにも注意を要すると指摘している。
当時も「インフルエンザ・パンデミック」と呼ぶべきナラティブがあったが、現在のナラティブとは異なる状況だったという。

「これは第1次大戦の休戦協定の直前だった。・・・
景気後退はあったが、その時は株式市場があまり打ち戻されなかった。
ナラティブが違ったんだ。
それに勝るナラティブが戦争だった。」

シラー教授は、現在が米市場で極めて独特の状況であると話す。
過去に例がないといえば、現在の超低金利も過去に例がない。

「1%未満に押し下げられた期間構造は歴史上なかったことだ。
大恐慌の最中でも、長期利回りの最低値は2%前後だった。
私たちは未踏の領域にいる。」

市場関係者の中には、今回の市場の下げの主因をコロナ・ショック以外に求める人も多い。
長く続いた金融緩和が資産バブルを生み出し、それが弾け、趨勢的停滞になるとの見方だ。
現在の超低金利はそうした見方にすりあっているようにも見える。
しかし、シラー教授は、そうしたせっかちな先読みには組しない。
急がず、淡々と歴史上の事実を振り返り、株式市場はそれほど金利と相関してこなかったと紹介した。

「金利がとても高かった70年代終わりから80年代初めにかけて、株式市場はとても低調だった。
・・・しかし、それ以外の時代はそれほど相関していない。」

これと同様、シラー教授は、現状の超低金利を趨勢的停滞や日欧化と解釈するのにも慎重だ。

今注視すべきはそれ(趨勢的停滞ナラティブ)ではない。
現在注視すべきはコロナウィルスだ。
現在の低金利は恐怖、現在のウィルスの恐怖を示すものだ。

人々は壮大な絵画を好むところがある。
足元の一時的な変化が長期の趨勢的な変化の兆しであると願うようなところがある。
もちろんその可能性はある。
しかし、それは可能性であって、早合点して長期的変化を信じ込むべきとは限らない。


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