政治

コロナにかかっても科学を軽視するワケ:ジェフリー・サックス
2020年10月6日

ジェフリー・サックス コロンビア大学教授が、コロナ対策について理解しがたい軽視を続けるトランプ大統領を批判し、その原因について解説している。


ドナルド・トランプ米大統領の(コロナ)感染は自業自得だ。・・・
トランプの無謀な行動は自分だけでなく妻や側近もコロナウィルスの危険にさらし、米国中の支持者が公衆衛生上の注意をバカにし感染医学の専門家を脅すことを推奨し、それが感染拡大を助長した。
多くのアメリカ人が基礎的な科学知識を欠いており、トランプやフォックス・ニュースの仲間など操縦者によって容易に左右され背中を押されてしまう。

サックス教授がProject Syndicateで、いつものようにトランプ大統領や保守派を批判している。
教授は大統領の回復を祈っていると述べつつ、大統領がこれまで採り続けてきたコロナ対策を厳しく批判している。

これはほとんどの日本人も感じている点だろう。
日本で首相がトランプ大統領のような言動をしたら、ほぼ100%非難を浴びるはずだ。
コロナウィルスを過度に恐れてはいけないという主張と、真逆のパフォーマンスを続けることは全く異なる次元の話だ。

実際、心配されていたことが起きつつある。
マクナニー報道官をはじめホワイトハウスやその周辺で感染者が出始めていると各紙が報じている。
それにも関わらず、当の大統領は(主治医が完治したわけではないという中)早々と退院した。
ホワイトハウス内で隔離するならそれでも良いが、問題は退院後の発言だ。
ビデオを通して「(新型コロナに)支配されるな、恐れるな」、「われわれは元に戻っていく。今の状況から抜け出せ」と呼び掛けたとReutersが報じている。

サックス教授は、感染対策において米国と似た2か国を挙げている。

トランプそっくりのポピュリスト政治家、英首相ボリス・ジョンソンとブラジル大統領ジャイール・ボルソナロもまた感染したことは偶然ではない。・・・
米国と同様、英国とブラジルは世界一打撃を受けた国々だ。
コロナウィルスによる死亡率(人口1百万人あたり死亡者数)は世界平均の133人に比べ、米国が647人、ブラジルが687人、英国が623人だ。

ジョンソン首相は《英国のトランプ》、ボルソナロ大統領は《ブラジルのトランプ》と呼ばれることがあり、両者ともにトランプ大統領と同様パンデミックを軽く見て、感染を悪化させた。
日本は人口1百万人あたり12人強だから、その差は目もくらむほど大きい。
国によっておかれた環境が違うとはいえ、政策に責任がないとはいいがたい。
これほど歴然とした差がありながら、なぜトランプ大統領らはパンデミックを軽視するのか。
背景には経済だけではなく、日本人には理解しがたいものもあるようだ。

サックス教授は、そこに米保守派の「反科学体制」があるという。
ロナルド・レーガン政権にさかのぼるこの姿勢は共和党の「2つの目的」のためにあるのだという。

  • 科学に拒否反応を示す、白人のキリスト教福音派の支持を得る。
  • 大口の献金者である石油・石炭産業のための「反環境主義」。

つまり、共和党が権力基盤を維持するために科学を否定することが必要とされてきたのだ。
それが今回、パンデミックでも発揮されてしまっている。

サックス教授は歯に衣を着せない。
「科学と証拠」に基づく政策を取り戻すには政権交代が必要だとし、トランプ大統領の回復を祈りつつ、バイデン候補が「地滑り的勝利」を上げることを願っていると明言する。
仮にそうなれば、トランプ元大統領にはつらい年が待っているという。

その場合、トランプは2021年、現在ニューヨーク検察庁によって捜査されている銀行・保険詐欺に関する訴追について、宣誓した上で、とても異なる種の証拠を見直すことになろう。


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