ロバート・シラー教授が、プリンストン大学のバートン・マルキール教授と対話形式でのコラムをPairagraphで公表している。
マルキール教授は効率的市場仮説(EMH)の擁護者としてのほか、著書『ウォール街のランダム・ウォーカー』で有名な経済学者。
対話は、コロナ・ショックによる株価急落後の急回復を題材に、シラー教授が問い、マルキール教授が答える形式で書かれている。
シラー教授:
こんな大きなリバウンドを正当化するような良いニュースはなかったと思わないか?
市場をこうも早く押し上げた原因は何だろう?
シラー教授は、市場が効率的と仮定した場合、こうした急落・急回復をどう説明するのかと問いたいようだ。
マルキール教授:
EMHは、価格が常に『正しい』、あるいは、すべての市場参加者が常に合理的であると示唆するものではない。・・・
彼らは常に『間違える』ものだ。
マルキール教授が言いたいのは、EMHは市場や市場参加者が正しいとの主張ではないということ。
正しかろうが間違っていようが、とにかく市場はかなり効率的になっているということだ。
EMHが示唆するのは、私たちには高すぎるか安すぎるか決して定かにはわからないということだ。・・・
株式市場が極めて効率的であるとする最も説得力のある証拠は、それが極度に打ち負かすのが困難な点だ。
個々の投資家が持続的に市場をアウトパフォームするのは極めて難しい。
それこそが、「効率的」であることの根拠になりうるというのだ。
シラー教授:
私はみんなに、まだやっていないなら今ポートフォリオを見直しリスクが高かったり塩漬けになっている銘柄を検討するようアドバイスしようと思っている。
EMHを完全に受け入れるなら、マーケット・タイミングも銘柄選択も無駄ということになる。
投資家はただインデックス・ファンドを持ち続けるというのが結論になる。
(シラー教授は以前、パッシブ運用を「ただ乗りの擬似科学」とディスったことがある。)
EMHを受け入れるなら、コロナ・ショックを理由にリスク・オフを奨めることも不合理ということになるのかもしれない。
マルキール教授:
マルキール教授の答はYesでありNoでもあるというものだ。
とはいっても、決して玉虫色の答をしたわけではない。
将来の雇用が不確実になったり、以前の考えよりリスクに対する耐久力が減ったという理由で、リスク許容度が変化したのなら、リスクを減らすのが適当だ。
しかし、もしも、株価が高すぎるとか、将来の経済状況を正確に予想できるとの理由でリスクを減らすのなら、力強く『No』と言いたい。