ケネス・ロゴフ:米国は大きな勝者だった

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国家は破綻する』の著書で世界各国の財政政策に大きな影響を与えたハーバード大学 Kenneth Rogoff教授が、グローバリゼーションに対するポピュリストの無理解を非難している。
米国が国を閉ざす方向に進めば、これまでの恩恵を失い、他国にリーダーの地位を奪われかねないとしている。


グローバリゼーションは世界を公正にした

ロゴフ教授はProject Syndicateへの寄稿でトランプ大統領の保護主義的発言を厳しく批判している。
日頃から淡々と議論を積み重ねるロゴフ教授は、トランポノミクスが少なくとも一時的には景気浮揚に役立つと評価し、批判ばかりを繰り返す左派を批判さえしていた。
しかし、今回は打って変わってかなり厳しい書きぶりでトランプ政権を批判している。

「米国のポピュリストは、おそらくトマ・ピケティの本に影響されたのだろうが、グローバリゼーションが中国やインドで赤貧に喘いでいた何億もの人たちを世界の中間層に押し上げた事実に気づいていないようだ。
アジアの勃興に対するリベラルな見方は、(グローバリゼーションが)世界をより公平で公正な場とし、人の経済的な運命がたまたま生まれついた場所に過度に依存しないようにしたというものだ。」

「ポピュリスト」とロゴフ教授では視野が随分と違うのだ。
ロゴフ教授は、ミクロとマクロの両方に目配りをした上で考えろと言っているのだ。

冒険投資家も格差縮小に言及

こうしたズレについて、以前、ジム・ロジャーズが興味深い発言をしたことがある。

「私は何度も世界を旅して経済の現場を見てきた。
格差は間違いなくあるが、歴史的に見ると縮小している。」

格差問題やピケティが注目を浴びていた2014年の発言だが、ある意味ロジャーズ氏らしくない違和感を感じさせるものだった。
しかし、よくよく考えれば、世界中を駆け回った冒険投資家だからこその自然な反応だったのだろう。
ロジャーズ氏にとっての格差とは、小さな村社会での貧富ではなく、大きな世界での貧富なのだ。

(次ページ: 中国に塩を贈る)