ケネス・ロゴフ:ほとんどの人は100ドル札を見ることさえない

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1万円札を廃止すべきと主張するKenneth Rogoffハーバード大学教授が、その主張の背景にある事実を語った。
現金の使用が減る中で、現金の供給は増え、特に高額紙幣が不正な取引に使われているのだという。


「私は100ドル紙幣を見たことがあるが、アメリカ人の95%は見ることがなく、5%は年に1-2枚見かけると話している。」

ロゴフ教授はETのインタビューで、高額紙幣の必要性がさほど高くないと考えられる理由を話した。
ETは、昨年突然紙幣切り替えを行って混乱を招いたインドの経済メディア。

細る現金の使用

「先進国経済を見ると、合法な取引での現金の使用は少なくなっている。
現在、小売の取引では金額で10%に満たない。
ほんの数年前までは15%だった。
今後数年でおそらく5%になるだろう。」

金額ではなく回数で見れば、かなり印象の異なる結果が出るのだろうが、先進国での現金の需要が減少傾向であるのは間違いない。
街でならクレジット・カード、デビット・カード、電子マネーなどを使う機会が増えている。
特に高額取引ならば、クレジット・カードや振り込み・銀行小切手などを使うのが自然だろう。

増える現金の供給

ところが、紙幣の供給はそうした《常識》とは異なる傾向にある。


ドルの流通量(青、左)と米名目GDP(赤、右)
ドルの流通量(青、左)と米名目GDP(赤、右)

2010年頃からドルの流通量の増加ペースが上がったように見える。
これはQEのためか、不正増のためか、新興国での需要増のためか。

「(合法な取引での現金使用は)減っているのに、現金の供給は増えている。
100ドル紙幣、500ユーロ紙幣、1,000フラン紙幣でもあまねくそうだ。
米通貨の80%は100ドル紙幣で、ユーロ通貨の90%は50ユーロ以上の紙幣だ。」

ほとんどのアメリカ人が目にしない100ドル札が、全体の80%も発行されている。
そして現金であるがゆえに、その所在は明らかでない。
金融当局、税務当局、捜査当局ともに、把握ができない。

「しかし、私たちはある意味どこにあるか知っている。
大きなドラッグ捜査の押収物、脱税捜査の押収物、人身売買ならどれでも高額紙幣が隠されている。」

(次ページ: 金融政策へのインプリケーション)

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