投資

グロース株を押し上げた本当の原因:ビル・グロス
2020年7月15日

かつて債券王と呼ばれ債券市場に君臨したビル・グロス氏が久しぶりに、しかも株式市場について金利を核とする説明をしている。


バリュー投資家(まだ残ってる?)はわかっているはずだ。
長い目で見て、株価とは実質金利の影響を強く受ける(インフレや(近年は)デフレの見通しを織り込んだ名目金利はさほどでもない)ことを。

グロス氏が今年初めてとなるInvestment Outlookで書いている。
株価の形成には様々な要因が関わっている。
その中で、重要な1つが実質金利であるというのがグロス氏の主張だ。
なぜあらためてこれほどの基本に立ち返るのかといえば、この基本を無視しモメンタム等で市場の動きを説明しようとする人が多いためのようだ

それを示すため、グロス氏は単純な株価モデルであるゴードンの配当割引モデルに立ち返っている。

 株価 = 今期の配当 ÷(資本コスト – 配当成長率)

グロス氏は、このモデルが長い目で見ると「まずまずの推定値」を与えると評価する。
一方で、最近の「FRBによる介入、暗黙の保証、数兆ドルもの財政赤字による歳出」が、ゴードン・モデルの論理を「ある意味」破壊してしまったと嘆いてもいる。
それでも、グロス氏は、このモデルが株式市場を説明するところは少なくないと考えている。

私が信じる1つの重要な理由とは、信頼のおけるグロース株の株価が、より大きく実質金利低下の影響を受けるというものだ。・・・
過去数年で起こったような150-200 bpの実質長期金利の低下は、他の条件が変わらなければ、AppleやAmazon株価に対し50%ほどの影響を及ぼし、その通りとなった。

ゴードン・モデルは、特に低金利環境では分母の影響を受けやすい。
分母の減算の結果がゼロに近づくと、計算される株価は急激に増大し、発散に向かう。
配当成長率が底堅い銘柄で金利の低下が起こるとどうなるか。
金利低下にともない、資本コストが低下し、分母がゼロに近づいていくことになる。
だから、こうした銘柄では金利低下の影響を強く受ける。
一方、配当成長率がさほど大きくなかったり、金利低下とともに配当成長率も低下してしまうような、シクリカルやバリューの銘柄では、理論株価の上昇率はグロースほどには高まらない。

「マイクロソフト株価(期待成長率という観点でおそらく最も一貫性のある株式)の過去2年間でのTIPSとのR2乗は0.854だった。
TIPSが上がるとマイクロソフトも上がり、TIPSが下がるとマイクロソフトも下がった。・・・
この間の200 bp近い(TIPS利回り)低下が少なくとも過去7年でのマイクロソフト株価の上昇の半分を説明している。」

グロス氏は、他にも配当成長率の向上、モメンタム、インデックス・ファンドの増大などの要因も認めている。
しかし、半分が金利上昇によるものだったのなら、それを見逃すのは大いなる危険だ。
こう前提を説明した上で、グロス氏はいつものように転換点を言い当てようとするような、ハイリスク/ハイリターンな予想を書いている。

マイクロソフト・アップル・アマゾンの、成長率は低いが質の高いコカ・コーラ・プロクター&ギャンブル等に対する将来の価格差は、実質金利が今後も低下するかによるように思える。
すでに最良の時期を越えたと思う。
バリュー株がグロース株よりも投資家に好まれる時が近いだろう。

何度フライングしても挫けない83歳は、ファブ・ファイブ(フェイスブック、アップル・マイクロソフト・アルファベット・アマゾン)ではなくバリュー株に投資しているという。
「保証しない」と言いつつも、目下お気に入りの銘柄を挙げている。

  • Enterprise Products Partners L.P. (EPD)
  • Altria Group, Inc. (MO)
  • International Business Machines Corporation (IBM)
  • AbbVie Inc. (ABBV)

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