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アスワス・ダモダラン グロースと素人が勝った本当のワケ:アスワス・ダモダラン
2020年7月6日

アスワス・ダモダラン ニューヨーク大学教授が、コロナ・ショック初期と株価回復局面で何が起こったのかを解説し、バリューやプロの投資家がアンダーパフォームした原因を推論している。


要すれば、どの企業(若いか古いか)が危機においてより多くの影響を受けるかとの問いの答は、その危機が実体経済と資本アクセスにどう影響したかによることになる。
多くの危機では、資本アクセスが早くやってきて、経済的効果の痛みはもっとゆっくりやってくる。

ダモダラン教授が自身のブログで、企業のライフサイクルと危機における株価の振る舞いを解説している。
一般論では、危機の初期に問題となるのが資本市場の混乱。
企業が生き残るために必要な資本へのアクセスを限定されてしまう。
結果、資本が必要またはアクセスが比較的難しい企業群が最も影響を受ける。
ライフサイクルで言えば両端、つまり若い企業と衰退期の企業だ。
一方、成熟企業は比較的資金調達を安定的に行える。
こうした企業への主たる打撃は実体経済の落ち込みであり、この影響はゆっくりと進む。

しかし、コロナ・ショックではこの一般論が当てはまらなかった。

「下落局面(2/14-3/20)では、すべての年齢の企業が約30%下げ、若い企業と古い企業の差は小さい。
第2段階(3/20-6/12)では、若い企業が古い企業よりはるかに勢いよく回復し、若い企業(5分位で最短)の期間を通してのマイナス・リターンは古い企業(5分位で最長)よりはるかに小さくなった。」

なぜ、資本アクセスの差が効いてこなかったのか。
なぜ、当初、若い企業も古い企業も同様に下げたのか。
ダモダラン教授はコロナ・ショックの特異性を2つ挙げている。

  • 危機前、資本市場が活況で、投資家のリスク選好が高まっていた。
  • 危機の性格上、世界経済がシャットダウンし、ほとんどの事業活動が停止した。

FRBの介入もあり、資本市場のボトルネックが早期に取り払われ、危機の初期の差が出なかった。
一方、いつもはゆっくり効くはずの実体経済の悪化だが、ウィルス感染防止のためにあっという間に進行したのだ。
ダモダラン教授は、この分析がファクターや投資家属性でのパフォーマンスもよく説明すると書いている。

「この危機の間、市場が若い企業・古い企業の扱いを違えたことは、バリューがグロースよりアンダーパフォームしたことも説明する。
バリュー投資の戦略は成熟企業に偏り、グロース投資は若い企業にもっとフォーカスするからだ。
また、なぜこれほど多くの市場の『プロ』が素人の後塵を拝することになったかも説明する。
プロは前の危機時に用いたシナリオを用い、いつどこに投資するかを決めたが、その後(危機は)異なる道に進んだからだ。」

ダモダラン教授は、小口投資家の参入が株価を押し上げたとの指摘については、従前どおり、金額規模からいって考えにくいと否定している。

間違いだらけの株高報道:アスワス・ダモダラン

ダモダラン教授はこの分析から教訓と見通しを引き出している。

歴史を知らない人は、それを繰り返す運命にあるものの、歴史だけを材料に投資判断を下す人も同様に危うい。
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この危機が欧米の金融市場を揺るがし始めてから4か月が経つが、状況はまだ変化しつつあり、終わりまでには紆余曲折があることだろう。


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