ウォートンの魔術師ジェレミー・シーゲル教授が、3日からのテクノロジー銘柄を中心とする米国株市場の下げについてコメントし、今後について強気スタンスを継続した。
パンデミック相場の恩恵を受けたテクノロジー銘柄は、たくさんのトレンド・フォロワーを集めた。
荒っぽかった。・・・
これは健全なふるい落としだ。
こうなることはわかっていたが、いつかがわからなかっただけだ。
シーゲル教授がウィズダムツリーのポッドキャストで8日、テクノロジー株を中心に進んだ株価下落についてコメントした。
教授の考えは、過剰なトレンド・フォローの動きに対する調整というもの。
悪い兆しとの認識は示されず、むしろ良い動きと捉えられている。
シーゲル教授や多くの市場関係者の興味は別のところにある。
「株式で大きなローテーションが起こった。
これは本当か?
過去『これは本当だ』と何度も言ったのに本当じゃなかった。
つまり、グロースからバリューへの本当のローテーションだ。」
もう20年近く日の目を見ないバリュー株。
長らくグロース株の後塵を拝してきた。
ここでグロース株からバリュー株への選手交代が起こるのか、多くの人が注目している。
シーゲル教授は望みを捨ててはいないものの、まだ慎重だ。
グロースからバリューへのシフトについては、経済再始動が必要となろう。
ウィルス症例数の低下と治療・ワクチン開発の進展が必要だが、それが見られつつある。
グロース株がコロナ・ショックから恩恵を受けている中、まだバリュー株のアウトパフォームには慎重にならざるをえない。
一方、経済や社会活動は一歩一歩ではあるが正常化しつつある。
シーゲル教授はそこに光を見ている。
《永遠のブル》の強気は最近の株価下落程度で揺らぐものではない。
この日のポッドキャストでは政治の話題が多かった。
プロ・ビジネスではないと捉えられているバイデン候補・民主党が選挙に勝っても、株にはプラスだという。
大統領選の不確実性が取り払われるほか、民主党による財政拡大が株式市場にプラスに働くからだという。
さらにもう1つシーゲル教授は、注目されていないが期待を持たせる経済統計について紹介する。
3日発表の第2四半期の非農業部門の労働生産性だ。
上方修正され年率換算で前期比10.1%上昇となった。
労働時間が減ったための上昇であるだけに多くの人は精緻な議論を控えているようだが、シーゲル教授は素直に50年ぶりの上昇幅と喜んでいる。
私は、今年終わりから特に2021年にかけて企業が人を減らしコストを削減し利益を増進するやり方を採用することで企業収益が向上すると言ってきた。
それが生産性で見られ始めている。
2021年は長年なかったような生産性ブームがやってくるかもしれない。
誰が大統領になろうと、これは株式にとって朗報だ。