グリーンスパン:減税が引き起こすスタグフレーション

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アラン・グリーンスパン元FRB議長が、トランプ政権・共和党の財政政策を厳しく批判した。
このままなら金利上昇とスタグフレーションが起こり、財政問題は手の打ちようのない状況に追い込まれるという。


「私たちが飛び込んだのは最悪の財政状況だ。
政権は減税と財政支出削減を行っているが、順序が間違っている。
今私たちがすべきは、完全に債務削減に集中することなのだ。」

グリーンスパン氏がCNBCでトランプ政権の財政政策を誤りと批判した。


Alan Greenspan: We’re about to go from stagnation to ‘stagflation’ from CNBC.

グリーンスパン氏によれば、米経済の先行き見通しは明るくないという。
米政府の債務拡大・FRBのバランスシート縮小は、債券市場における米国債の需給悪化を連想させる。
さらに、すでに完全雇用に近い状況で財政政策を打つことは景気を無意味な領域までふかすことになりかねず、インフレ要因だ。
インフレ・金利が上昇し経済を冷やせば、通常は起こりにくいインフレと停滞の共存が実現してしまう。

何も変わらなければ、米経済は停滞からスタグフレーションに移行してしまう段階にある。
現在からは想像できないかもしれないが、インフレは大きく上昇し、経済の不均衡は大きく拡大するだろう。

市場関係者が「想像できない」のも無理はない。
今年第2・3四半期のGDPの伸びは3%を超え、第4四半期にも高い予想が出されているからだ。
グリーンスパン氏の予想はそれとは大きく異なる。
週次の数字をつなぎ合わせると、第4四半期の伸びは2%近くまで下落すると見られるのだという。

減税しても財政赤字が拡大してしまえば効果がほとんど得られないメカニズムをグリーンスパン氏は説明する。

「私が長年見てきた計量経済学によれば、税制赤字を増やし資金需要を増やせば、設備投資をクラウディング・アウトしてしまう。
設備投資は時間あたり生産つまり生産性を決める主たる指標だ。」

民間セクターに流れるべきマネーが公共セクターに吸収されてしまう。
これが生産性向上・潜在成長率上昇を阻害する。
そして、それがブーメランのように財政問題に跳ね返ってくる。

「この状況が、財政問題への解決を極めて困難にする。」

グリーンスパン氏は、財政インフレについてどういう形でいつ顕在化するかは予想できないものの、必要な要因はすべて揃っているという。
そしてインフレとなれば、次には金利が問題となる。

「重大な問題は、実質長期金利だ。
現在は異常に低いが、急騰するだろう。」

グリーンスパン氏は昨年スタグフレーションと金利上昇の可能性を指摘、今年2月にはトランプ政権の財政政策が1970年代のスタグフレーションを再現させると懸念を呈した。
8月には「異常に低い」金利水準を念頭に債券市場こそバブルと語っている。

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