グリーンスパン:心配すべきは政府債務拡大

アラン・グリーンスパン元FRB議長が、米金融・財政政策やビットコインについて語った。
かねてからの持論通り、問題の本質は金融政策にあるのではないとした。


「心配すべきは4兆ドルの(FRBの)バランスシートではないんだ。
その大部分はFRBによる米国債の保有であり、ダブル・カウントされている。
米財務省+FRBを一体の金融主体と考えれば、(バランスシート縮小は)資金の内部移動にすぎない部分がほとんどで、連結消去されるべきなんだ。」

グリーンスパン氏はFox番組でFRBバランスシート縮小について語った。
本質的な問題はFRBの総資産4.5兆円すべてではなく、米政府-FRB間のいわゆる統合政府内の内部移動ではない部分に限って考えるべきとの指摘だ。
と聞く者が強気になり始めた次の瞬間、グリーンスパン氏は視聴者をどん底に落とす。

しかし、FRBがバランスシート縮小を始めれば、FRBが何世代にもわたって金融引き締めとなる過程で金利上昇圧力を及ぼす。

量的緩和の効果については当初から議論が絶えなかった。
QEを始めた張本人ベン・バーナンキ前FRB議長でさえ、バーナンキのジョークとして知られるように、その理論的な有効性を否定していた。
そのQEが米経済では何がしかの効果を発揮したことになっている。
ならば、その巻き戻しに(程度はどうあれ)逆効果が存在しないはずはない。


グリーンスパン氏のダブル・カウントとの指摘には一つの前提がある。
それは、FRBが米国債保有を減らす分、米政府が追加的に償還するという想定だ。
財源のない減税・インフラ投資を強行しようとするトランプ政権に対して、この前提は成立するだろうか。

ここで議論は、そもそもの経済の抱える問題に戻る。
グリーンスパン氏は、他のエコノミストと同様、問題の本質は伸び悩む生産性にあると言う。
その中で、前四半期には3%成長となった米GDPだが、完全雇用がほぼ実現している中、これが近いうちに上昇するとは考えられないという。
雇用に伸びしろがなく生産性も伸び悩む状況下で、GDPはそう上昇するものではない。
財政政策は需要側を刺激するだろうが、供給側の問題を解決するものではない。

「率直に言って、私たちが心配すべきは、連邦政府債務がとても速いペースで増加しており、(共和党減税)法案がそれにストップをかけようとしていない点だ。
私は、減税だろうが財政支出拡大だろうが、財政刺激策を採るのは時期尚早と考えている。」

キャスターが「減税は元が取れないと考えるのか」と尋ねると、グリーンスパン氏はふき出した。
レーガン政権時に自身が携わった税制改革案策定の昔話をし、現実的ではないと示唆した。
グリーンスパン氏の考える財政再建の柱は社会保障負担拡大を食い止めること、つまり社会保障の水準を切り下げることだ。

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