クルーグマン:減税なんていらない

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ポール・クルーグマン教授がトランポノミクスを批判している。
中でも、市場が最も期待する減税の効果については、単なる偏見だと切り捨てている。


クルーグマン教授の挫けることのない批判が、果たしてエコノミストとしてのスクウェアな分析によるものなのかどうかはわからない。
しかし、教授は(批判の対象とは異なり)明らかに事実と反することをわめきたてる人ではない。
その教授がBloombergでトランポノミクスの虚飾を語っている。
これが当たっているなら、市場は虚飾によって押し上げられていることになる。

「(3%のGDP成長率目標が)実現するには、数多くの幸運が必要だ。
すばらしい技術革新があるとか、何かの理由で生産性が急上昇するなどだ。
政策の中に、成長率を押し上げるものはない。」

クルーグマン教授はすでに米社会が完全雇用に近いとし、成長率を押し上げるのにも限界があると言う。
トランプ大統領に経済政策をアドバイスするとしたらと尋ねられると「本当のきれいなインフラ計画」と答えた。
修理・維持ではなく、新設のことを指しているようだ。
ただし、すでに完全雇用に近いため、雇用創出は限定的だという。
それでもインフラ支出を勧めるのは、需要の基盤を強固にし、何か悪いことが起こった時のクッションになるためだ。

また、移民政策については純減とする計画ではなく、純増とする計画とすべきと言う。
長期的な施策としては教育・医療の向上を挙げた。


市場にとっての目玉政策とも言える減税については、クルーグマン教授は極めて否定的だ。

「カリフォルニアやカンザスの減税で経済がよくなったというが、証明になっていない。
減税が現在重要だという偏見以外に何か証拠を示してほしい。」

法人減税が最終利益に対する株主と国家の切り分けを変えるのは間違いない。
それは、少なくとも足元では株式に有利に働く。
減税賛成派の多くはこうした金銭的欲求による賛成かもしれない。
あるいは、減税により国内産業の振興が図られるとの議論もありうる。
減税推進の議論はこの後者の大義名分で進められるのが常だ。

クルーグマン教授の減税批判がこの後者についての否定であるとするなら、それは深刻だ。
米経済は政府が失った歳入ほどのプラスを得られず、しかも、富の分配が富める者に有利になってしまう。
これは、トランプ大統領の支持者の多くにとっても不利な変化になるはずだ。

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