クルーグマン:大恐慌の可能性

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あきらめることなくトランプ批判を続けるポール・クルーグマン教授がPRESIDENTのインタビューで、厳しい口調でトランポノミクスの誤りを指摘している。
保護主義は米国に雇用を戻したりしないし、大恐慌をもたらす可能性さえあると警告している。


「大恐慌が起こる可能性もある。
もちろん日本も甚大な影響を受ける。」

トランプ大統領の保護主義的公約は票稼ぎではなく本気だった。
グローバリゼーション・自由貿易を逆回転させる壮大な社会実験が始まる可能性が高まりつつある。
社会実験の結果がどうなるかは誰にもわからないと言いながら、クルーグマン教授は「大恐慌」の可能性に言及した。
1930年代がまさにそうだったからだ。
また、教授は、減税と規制緩和が将来金融危機を引き起こす素地を作るとも述べている。
レーガン政権と同じように、すでに膨大な財政赤字はさらに拡大し、貿易赤字も膨らむという。

クルーグマン教授は、NAFTAを崩壊させれば「トランプショック」が起こると予想する。
TPPのチャンスはゼロとも言う。
事実と異なることをまき散らすのが得意の大統領だが、内容の良し悪しはともかく、言ったことは実行する人なのだ。

国際貿易の権威であるクルーグマン教授が2点、興味深い点に言及している。
目新しい話ではないが、重要なポイントなのでリマインドしておこう。
一つ目は、ツイートや減税によって仕事が国内に戻ってくることはないという点。

「製造業に人が少なくなった理由は生産性が上がり、以前ほど人を必要としなくなったからだ。」

米国が途上国と同じような労賃で製造業をやりたいなら保護主義で雇用も戻ってくるのだろう。
しかし、米国がやりたい仕事のすべてが貿易相手国に逃げて行っているわけではない。
機械化・情報化によって、労働が必要とされなくなっている現実も忘れるべきでない。
さらに、米国が完全雇用のレベルに入っていることを指摘し

「あるセクターで新しく増えた職がほかのセクターでなくなるだけなのだ。」

と、教授が嫌っていたはずの供給サイド経済学と似た考えさえ語っている。

二つ目は、トヨタなど内外の企業が米国への投資・雇用計画を吹聴し始めた点だ。
クルーグマン教授は、こうした企業群の姿勢をを皮肉る。

「トランプを喜ばせることを言うのは、政治的影響力を買うのに安上がりの方法だ。
いずれ実行する予定であったことを前倒しで発表して、ホワイトハウスに花を持たせることはお金がかからない政治献金と同じだ。」

トヨタなどはいわれのない罪で非難を浴びた被害者というべきだろうが、確かにトランプに対しスタンド・プレーを見せる企業は内外に存在する。
それは「政治献金」かもしれないし、広告宣伝活動かもしれない。
クルーグマン教授は、そうこうするうちに「結局経済が悪化する」と説明している。