クルーグマン、マーク・ファーバーに牙をむく

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ポール・クルーグマン教授が、マーク・ファーバー氏をやり玉に上げた。
クルーグマン教授らしい子供っぽい口喧嘩なのだが、背景にはいくつの問題が潜んでいる。


マーク・ファーバーは2009-10年、絶え間なくハイパーインフレを警告してきた。
そして今では奴隷制を推奨する(!)白人至上主義者だ。

クルーグマン教授は昨日ファーバー氏に関しいくつかのツイートをした。
日頃、拡張的金融・財政政策を批判されていることへの意趣返しである。

教授は自身に向けられる2種類の批判を説明している:
(a) 人種差別主義、反ユダヤ主義というもの
(b) 金融緩和・財政出動を唱えた時の怒号

(a)はまったく根拠のない誹謗中傷だ。
クルーグマン教授は米大統領選のころからトランプ支持者との論争を続けている。
なにしろ相手のレベルが低いため、まともな議論にはならない。
そこで(a)のようなfake newsが飛び交うことになる。
しかし、教授はこうした批判を気にすることはない。

ファーバー氏は白人至上主義?

より辛辣なのは(b)、とりわけ金融緩和に関するものなのだという。
こちらの議論はどちらが正しいと画一的に決まるものでなく、両方の側に真摯に向き合っている人がいる。
社会実験の将来を読み切ることはできないから、議論は相対的になる。
ここで、クルーグマン教授はファーバー氏批判を展開した。
ファーバー氏がレポート(Business Insider報)の中で白人至上主義を唱えたというのだ。

「アメリカに入植したのが黒人ではなく白人であったことに感謝しろ。
さもなくば、米国はジンバブエのようになっていただろう。
いつかそうなるかもしれないが、少なくとも米国は白人マジョリティのもと、経済・政治に200年間日の光が当たってきた。
私は人種差別主義者ではないが、ポリティカリー・インコレクトであろうと、現実も語られなければならない。
(アフリカの部族長も自分の奴隷を白人・黒人・アラブの奴隷商人に喜んで売った点を忘れてはならない。)」

気のいいおじいちゃんなのに・・・

言いたいことはわかるが、完全にアウトの意見表明だ。
明らかに差別を許容する点、奴隷とされた側の視点が欠けている点がよくない。
このくだりは、米国で人種差別にかかわった人物の像を撤去すべきかとの議論から始まったものなのだが、ポリティカル・コレクトネスを超えた誤りを含んでいると言わざるをえない。
ファーバー氏が社外取締役を務める企業は早速同氏解雇に動き、主要テレビ局も出演依頼を取りやめる模様だ。

ただし、日頃の発言を見る限り、ファーバー氏が人種差別主義者とは考えにくい。
むしろ、ある意味でリベラルであり、米国の(保守・リベラル双方の)欺瞞を批判してきた。
(実際、この直前のくだりでは、米リベラル派の欺瞞を指摘している。)
そして、相当な皮肉屋であり、やたらと歴史的見地から語りたがるくせがある。
こうした点が、この不適切な文章が生まれた背景にあるのだろう。
文章は不適切だと思うが、ファーバー氏は気のいいおじいちゃんだ。

(次ページ: 人種差別とGoldの関係)